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「YAMANASHI DESIGN ARCHIVES」は、山梨県に伝わる過去の優れた物品の造形や模様、自然から得られる色彩、今に伝わる昔話・伝説を、産業上で使用することのできるデザインソースとしてデジタル化して配信する山梨県のプロジェクトです。

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The “YAMANASHI DESIGN ARCHIVE” is a project in Yamanashi prefecture that distributes the design sources of shapes and patterns of fine goods that have been passed down in Yamanashi prefecture since the past, colors from nature, old tales and legends that have been passed down to the present, and written material that has existed in the region since ancient times through a digital format for industrial use. Please make use of these sources for product development, education and research, service development, etc.

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Old Tale

#1254

山犬と大蛇

ソース場所:忍野村に伝わるお話


●ソース元 :・ 土橋里木(1975年)全國昔話資料集成16甲州昔話集 岩崎美術社
●画像撮影  : 201年月日
●データ公開 : 2017年10月30日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他   : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。

[概要]  一人の狩人が、山で三匹の赤ん坊を産んだ山犬に会い「大切に育てるから一匹くれないか」と請い、子犬をもらってきて大切に育てた。犬も狩人に良くなつき立派な相棒に育った。狩人と山犬はある日、山奥へ狩りをしに行き、日が暮れたので大木の洞穴に入って休むことにしたのだが、何故か山犬が狩人の袖をくわえて引っ張る、山犬がふざけているのかと思った狩人は叱ったが、山犬は止めずに狩人を外に引っ張り出そうとし、しまいには吠えたり狂ったように引っ張るので「馴れたとは言え、相手は畜生だ。気が狂って俺の事を喰うつもりか?」と恐れ、山犬の首を刎ねた。すると、山犬の体から離れた首は飛び上がって、洞穴上部に潜んでいた大蛇に食らいつき落ちてきた。山犬が狩人を狙う大蛇から救ってくれようとしたことに気付き、山犬にすがって泣いて謝った。狩人は山犬の亡骸を大切に持ち帰り、人間と同様に弔い、山犬の菩提を弔うために六部となって日本中を遍巡ったと云う。

山犬と大蛇
あるとき一人の狩人が山へ行ったらば、大きな岩の下に山犬がアカ(赤ん坊)を三つ産んでいた。
狩人はそろりそろりと山犬のところへ近づいて、「山犬どの、どうもおめでとうがした。ところで、そのアカを一つおれにくれねエかね。大事に育てるに」と言って頼むと、山犬はこちらの言うことが分かったと見えて、首をさげて承知した。
それから十二日たって、狩人は切り火で新しく竃に火をもやし、赤飯をふかして重箱に入れ、魚をそえて、山奥の岩の下に持って行った。子を育てている山犬に、それをさし出して、「さアそれじゃア、約束のアカを一つくだせエ」と言うと、山犬の母親は、三匹の子犬の尻尾をくわえて一つ一つ振って見た。すると二匹の子犬はカインカインと鳴いたが、一匹だけは少しも鳴かない。鳴かない犬の方が性がよいのである。狩人はその鳴かない子犬をもらって山をくだり、それを家に飼ってわが子のように可愛がった。子犬はだんだん育って立派な犬となり、狩人にもよくなついて、狩人が山へ狩に行くたびについて行った。
何年かたってから、狩人はその犬をつれて山奥へ行き、狩をしているうちに日が暮れて、山へ泊まることになった。家がないから、大木の洞穴にはいって休んでいると、なぜか山犬が狩人の袖をくわえて引っぱる。初めはふざけてするのだと思っていたが、だんだん強く引いて、洞穴の外へ出ようとするから、「何オしるだ、今夜はこけェ(ここへ)泊まるだぞ」と言って犬を叱った。けれども犬はやめるどころか、しまいには狂ったように吠えたてたり、狩人の袖をむしれるほどくわえて引っぱったりする。「この畜生は気でも狂ったずらか。今夜は俺を喰う気かな。それじゃア貴様の命もねエぞ」狩人は腰の出刃を抜いて、サッと犬の首を切った。
すると犬の首は飛びあがって、洞穴の上の方の怪物にガシッと喰いついた。間もなく上の方からドタリと落ちて来たのは恐しい大蛇であった。大蛇は洞穴の上の方から、狩人を呑もうとして狙っていたのである。犬はそれを知って、先から狩人の袖を引っぱって、危険を知らせたのであった。
犬の首が大蛇の喉へ喰いついているので、大蛇は苦しみもがいている。狩人は出刃で大蛇を切り殺して退治した。それから犬の死骸に抱きついて、泣いて謝まった。「申しわけアねエ。おめェは俺オ助けてくれたに、俺ァおめェを切ってしまっただ。どうか勘弁してくれろ」
明日の朝狩人は、犬の死骸を背負って山をくだり、人間と同じ葬式をして、自分の家のお墓へ埋めてやった。それから犬への申しわけに、狩人をやめて六部になり、犬の頭を笈物に入れて背負い、お経をよみながら、四国西国から日本中を遍巡ったということだ。
(南都留郡忍野村 須山まん様)

土橋里木(1975年)全國昔話資料集成16甲州昔話集 岩崎美術社

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* 話者の年齢は、採話時のもの。

このデザインソースに関連する場所

忍野村

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山梨各地に伝わる昔話や伝説、言い伝えを収録しています。昔話等の舞台となった地域や場所、物品が特定できたものは取材によって現在の状態を撮影し、その画像も紹介しています。