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「YAMANASHI DESIGN ARCHIVES」は、山梨県に伝わる過去の優れた物品の造形や模様、自然から得られる色彩、今に伝わる昔話・伝説を、産業上で使用することのできるデザインソースとしてデジタル化して配信する山梨県のプロジェクトです。

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The “YAMANASHI DESIGN ARCHIVE” is a project in Yamanashi prefecture that distributes the design sources of shapes and patterns of fine goods that have been passed down in Yamanashi prefecture since the past, colors from nature, old tales and legends that have been passed down to the present, and written material that has existed in the region since ancient times through a digital format for industrial use. Please make use of these sources for product development, education and research, service development, etc.

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Old Tale

#1287

河童の知恵②河童と夕顔

ソース場所:都留市戸沢


●ソース元 :・ 内藤恭義(平成3年)「郡内の民話」 なまよみ出版
●画像撮影  : 201年月日
●データ公開 : 2017年12月08日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他   : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。

[概要] お坊さんとの禅問答に負け、棲家を追われた河童が次の棲家として選んだのは桂川の支流である玉川の大道淵だった。お坊さんとの約束もあり、人や馬の生き血を吸うことも出来ず、こっそり畑の作物を失敬していた。これに気付いたお百姓さんの豊七が、一計を案じた。豊七は河童に「いたずらしないなら食べ物を持ってきてやろう。好きなものは何か?嫌いなものは何か?」と尋ね、河童は「夕顔の汁は嫌いだが、人間の生き血は好き」と答える。生き血は無理だと云うと「猪か熊の肝が欲しい」と答えた。翌日、豊七は河童に肝を持ってきてやって、河童は喜んで食べたかと思ったら、突然苦しみだして淵に飛び込み水を飲んでは腹の中の物を吐き出し、淵は血で染まった。豊七は肝を夕顔の汁で煮て持ってきてやっていた。「ウソツキ」と弱った河童が云うと。豊七は「好き嫌いを聞いただけで、好きな物だけ持ってくるとは言ってない。約束通りもうイタズラはするな」と言った。河童は人間の知恵にはとてもかなわぬことを改めて知り去っていった。

河童の知恵②河童と夕顔

禅宗の坊様との知恵比べに負けて松留の淵を出た河童は、また禅問答を仕掛けられてはたまらないので、禅宗の坊様のいない村の淵を求めて川をさかのぼった。ところが郡内には禅宗の寺が多いのでなかなか安住の場所が見つかちなかった。桂川の支流・玉川(都留市)へ入り、戸沢の東の沢、西の沢の合したところにある大道淵を見つけて、ようやく棲みついた。
坊様から「今後いたずらするな」と言われても、河童だって生きていかねばならぬ。約束上、人の生き血を吸うことだけは断じて止めねばならぬ。止めねば河童道にそむく。河童にだって意地というものがある。が、意地ばかり張っていては腹がへってどうにもならぬ。岡のものをたべるなんて情ない次第となったが畑の作物を失敬しては、食をつないでいた。
村人はこのごろ畑が荒らされて因ると言っていたが、ある日豊七が畑に出て芋を堀っていると、尻をなでる者がいるので驚いて振り向くと、頭が皿のように平らで顔に口ばしを持った裸の子が逃げて行くではないか。豊七は、畑荒らしの犯人は河童だと悟った。河童を退治しないと淵へ引き込まれたり、畑が荒らされては因ると一計を案じた。
翌日、豊七は肝を抜かれては困るので、尻に鉄びんのふたを当てて畑へ出た。予期した通り河童が現れて「おじさんの尻は鉄か鉄か」と尻を叩きながら話し掛けた。豊七は「いたずらしないなら、たべ物をやろう。好きなものは何か、嫌いなものは何か。明日持ってきてやるぞ」と言うと「夕顔の汁は嫌いだが、人間の生き血は好きだ」と言う。
「人間の生き血をやるわけにはいかぬ」と言うと「それなら猪か熊の肝がほしい」と言うので「肝ならなんとかしよう」と約束した。
豊七は翌日、夕顔の汁で煮た猪の肝を約束通り河童に与えた。河童は肝をうまそうに食べていたが、突知はね上り、一目散に駆け出し淵へ飛び込んだ。夕顔汁にあたったのに気付いて、水をいっぱい飲んで吐き出すためであった。
淵の水は赤く染まり、河童は死んだかと思ったが、それでもしばらくして浮いて出て「うそつき」と言った。豊七は「うそは言ってないぞ。好きなものは何か、嫌いなものは何か。明日持ってきてやると、両方持ってくる約束をしたのに、お前が勝手に好きなものを持ってきてくれると勘違いしたのだろう。約束通りもういたずらするな」と言った。
まんまとだまされた河童だが、人間の知恵にはとてもかなわぬことを改めて知り、戸沢もやっぱり棲めるところではないと、戸沢川を下り菅野川を経て再び桂川を遡った。

内藤恭義(平成3年)「郡内の民話」 なまよみ出版

河童はお坊さんや農夫からイタズラを叱られ、命からがら彷徨いました。河童が彷徨った各地のイメージ写真には、県内各地のちょっと河童好みに思われる河川の写真を使いました。富士川町高下の小柳川、大月市の桂川、北杜市高根町の大門川の三地点です。県内には、もっと河童心をくすぐる素敵な場所がたくさんあると思います。どこかで途方にくれている河童に出会ったら、是非とも紹介してやって下さい。

このデザインソースに関連する場所

都留市戸沢

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山梨各地に伝わる昔話や伝説、言い伝えを収録しています。昔話等の舞台となった地域や場所、物品が特定できたものは取材によって現在の状態を撮影し、その画像も紹介しています。