0519│鬼の杖

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ソース場所:大月市賑岡町強瀬

●ソース元 :・ 土橋里木(昭和28年)「甲斐傳説集」山梨民俗の会                
       ・ 内藤恭義(平成3年)「郡内の民話」 なまよみ出版           
●画像撮影  : 2013年10月09日
●データ公開 : 2016年04月01日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他   : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。

[概 要]

鬼の杖石 

昔岩殿山に赤鬼が棲み、常に両手に石杖を持っていた。右は太く長く、左は細く短かった。或る日鬼は何かに怒って、両手の石杖を天高く投げ、その落ちる響きは雷の如く、大地は地震の様に震えた。今 山麓の東方十余町の石動と呼ぶ地の畑中に、柄の方を西に向け、地中深く突き立っているのが赤鬼の左杖で、これを「鬼の杖」という。
地上の長さ五尺八寸、幅二尺、厚さ八寸のもので、地下に埋まっている部分は無限だといわれ、上部には鬼の手の拇指・食指・中指の痕が明らかについている。この左杖よりもさらに太くて長いと謂われる右杖は、遥か西方の笹子峠に近い白野の原に立っていて、「立石」と呼ばれている。 (甲山峡水)

土橋里木(昭和28年)「甲斐傳説集」山梨民俗の会
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鬼の杖石
むかし、大月市の岩殿山に赤鬼がすんでいた。赤鬼はものすごく大きくて、力持ちで、いつも両手に石の杖を持っていた。
桂川をへだてた向かい側に、菊花山という山があり、その裏に九鬼山があるが、そこには仲間の青鬼がすんでいるので、遊びに行くときには石の杖を菊花山に立てて、棒高跳びのようにして、いっぺんに九鬼山まで行ってしまった。
ある日、九鬼山から青鬼が遊びにやってきた。鬼の話というのは、きまって人を喰う話か力自慢の話である。その日も力自慢の話になった。
岩殿の赤鬼は「おれの持っているこの石杖を天高くどこまで投げられるかやってみよう」と、持ちかけた。「よしやってみよう」ということで、力比べが始まった。天高く投げ合ったため、落ちる響きは雷のごとく、その震動は地震のようであった。
力自慢するだけあって、勝負はなかなかつかなかった。勝負をつけようにも空へあげるので、高さを測ることができなかった。お互いに「おれの方が高かった」と、けんかになった。そこで今度は、石杖を地中にどこまで深く突きさせれるか比べることにした。
岩殿山の赤鬼は右手の石杖を横に置くと、左手に持っていた細い方の杖を両手でむんずと掴み揮身の力をこめて地中に突きさした。すると、石杖は手元までズブりと堅い岩山を突きやぷってささった。そのすきに九鬼山の青鬼は、岩殿の鬼の右の石杖を高く持ち上げ、西の方笹子峠に向けて投げてしまった。
岩殿の赤鬼はおこって、左の杖を地中から抜こうとしたが、あまりに深くさしたため、抜くことができなかった。双方素手でとっくみ合いの死闘となり、揚げ句の果てに双方死んでしまった。

いま大月市の石動団地のある岩殿山から一キロばかり東の石動というところに地中深く突きささった石があるが、これが赤鬼の左杖で、引き抜こうとしたときの力でへこんだ指のあとが、はっきりと残っている。右の杖は笹子町の立野の原、JR中央線の線路脇にあって「立石」と呼ばれている。
内藤恭義(平成3年)「郡内の民話」 なまよみ出版

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35.618423,138.961973
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