ABOUT

「YAMANASHI DESIGN ARCHIVES」は、山梨県に伝わる過去の優れた物品の造形や模様、自然から得られる色彩、今に伝わる昔話・伝説を、産業上で使用することのできるデザインソースとしてデジタル化して配信する山梨県のプロジェクトです。

・・・

The “YAMANASHI DESIGN ARCHIVE” is a project in Yamanashi prefecture that distributes the design sources of shapes and patterns of fine goods that have been passed down in Yamanashi prefecture since the past, colors from nature, old tales and legends that have been passed down to the present, and written material that has existed in the region since ancient times through a digital format for industrial use. Please make use of these sources for product development, education and research, service development, etc.

・・・

ABOUT

「YAMANASHI DESIGN ARCHIVES」は、山梨県に伝わる過去の優れた物品の造形や模様、自然から得られる色彩、今に伝わる昔話・伝説を、産業上で使用することのできるデザインソースとしてデジタル化して配信する山梨県のプロジェクトです。

・・・

The “YAMANASHI DESIGN ARCHIVE” is a project in Yamanashi prefecture that distributes the design sources of shapes and patterns of fine goods that have been passed down in Yamanashi prefecture since the past, colors from nature, old tales and legends that have been passed down to the present, and written material that has existed in the region since ancient times through a digital format for industrial use. Please make use of these sources for product development, education and research, service development, etc.

ARCHIVES

ARCHIVES

VIEW RANKING

RANKING

GUIDE

物語

Old Tale

#0543

竜王水

ソース場所:甲斐市竜王629 慈照寺


●ソース元 :・ 甲斐市教育委員会  
       ・ 山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」        
       ・ 土橋里木(昭和28年)「甲斐傳説集」山梨民俗の会
●画像撮影  : 2014年09月06日
●データ公開 : 2016年06月24日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他   : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。

【概要】 竜王水   昔、この近くの「竜王潭」には悪竜が棲んでいて暴れては付近の田畑を泥の海に沈めていた。集落の人々の願いを聞き、真翁宗見禅師が悪竜を済度した。禅師の法力は人々に喜ばれ、慈照寺の開祖となった。ある晩、竜王潭の主は、禅師の前に現れ、悪竜の済度に感謝し、慈照寺の境内に清らかな水が湧き出る泉をのこした。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◎甲斐市指定有形文化財(天然記念物)
竜王水
指定年月日  平成二年十二月五日
竜王水は慈照寺境内に湧き出す湧泉で、「竜王」の地名の由来ともいわれています。
この水源地は、東西2.1メートル、南北1.75メートル、深さ約0.5メートルの規模で、赤坂台地と呼ばれる茅が岳火砕流の末端部に出現した湧水です。茅が岳南麓は自然湧水の極めて少ない地域であり、古くから地域の重要な水源として利用され、かつての住民の生活用水の記録として貴重なものであります。遊水地の現状は、コンクリートの枠が作られ小屋により保護されています。
伝承では、信玄堤の北方、高台の下に通称「竜王潭」という川の水深が深い場所があり、そこに悪竜がいました。慈照寺の開祖、真翁宗見禅師は悪竜に善を説き更正させたところ、次の晩、竜王潭の主が白髪の老翁の姿になって現れ、悪竜を更正させたことにれいをのべました。その翌朝、禅師が以前から願っていた清水が本堂の前庭から湧き出しており、それ以来、この湧水を「竜王水」と呼ぶようになった。といわれています。
平成二十六年二月一日
甲斐市教育委員会
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
竜王水の話
とおいむかしのことだ。
秋ぐちになると、きまって大雨がふり、たつみ(南東から大風)がふいた。それが、三日もつづくと、篠原の荘(今の竜王町)の人々は、
「ほれ、また竜王さまがあばれなさる。」
と、いって、赤坂の小高い丘へにげたものだ。
そんなときは、釜無川に洪水がおこり、せっかくみのった田んぼや畑を、どろの海にうずめてしまったという。

ずうっとずうっとむかし、まだ甲府盆地がひろい沼だったころ、竜王は、そこにすんでおったのだそうだ。
ところが、行基というえらいお坊さんが、鰍沢ちかくの兎の瀬というところの山をきりひらいて、盆地の水を富士川に流してしまった。
すむところのなくなった竜王は、しかたなく、釜無川の高岩の下のせまいふちにうつっていったのだと。
竜王にしてみれば、おもしろくなかったにいちがいない。
だから、ときどき大あばれしては、洪水をおこして、うっぷんをはらしていたのだろう。

けれども、それで難儀をするのは村の人たちだ。
だからといって、あいてが竜王では、どうすることもできん。
村の人たちは、竜王のいかりくるうのを、しずめる手だてはないものかと、そうだんをつづけたが、うまい知恵もうかんでこない。
すると、
「上曽根(今の中道町)の竜華院ちゅう寺の坊さんは、とてもえらい坊さんだそうだ。ひとつ竜王をしずめるお経をあげてもらったらどうずら。」
と、だれかがいいだした。
「そんなことぐれえで、あの竜王さまが、あばれるのをやめてくれるずらか。」
というものもいたが、とにかくおねがいしてみようということになった。

そのえらい坊さんというのは、宗見禅師というかたで、村の人たちがおねがいにいくと、
「およばずながら、力をおかししよう。」
と、心よくききいれて、さっそく、篠原の荘にこられた。
そして、高岩のちかくの古寺にこもって、昼も夜も、竜王のあれすさんだ心をやわらげようと、経をとなえつづけた。

ところが、また、秋ぐちになると、竜王があばれだした。
宗見禅師が、大雨とつよい風の中を、竜王がすむといわれている竜王潭にちかづいてみると、人間のなん十ばいもある竜がまっかな口をあけて、あばれていた。
禅師に気づくと、ひとのみにしようと、おそいかかってきた。
宗見禅師は、すこしもあわてず、手にしていたとうとい護符を、竜王の口めがけて、なげるようにしてあたえた。
すると、どうだろう。あれほどあばれ、禅師をひとのみにしようとした竜王は、たちまち、ふかいふちの底に身をかくしてしまったそうだ。

それから竜王もすっかりおとなしくなったので、村の人たちはあんしんして、田や畑のしごとにせいをだすことができるようになったという。
村の人たちは、これも宗見禅師のおかげだと、古寺あたにりっぱな寺をたてて、禅師におくった。寺は慈照寺と名づけられた。

さて、寺がたってしばらくしたある夜、禅師がねむっているまくらもとに、うつくしい姫があらわれた。
そして、
「わたしは、竜王潭にすんでいる竜王です。禅師さまからいただいた護符によって、いままでじぶんのしてきたことのおそろしさがわかりました。
いまは、心もからだもやすらぎ、しあわせなまい日をおくることができようになりました。このお礼を、ぜひさせていただきたいのですが・・・・・・。」
と、いったそうな。そこで禅師は。
「それは、たいそうよい心がけ。では、この村には、よいのみ水がすくなくてこまっている。きれいな水がでるようにしてくれるとありがたい。」
というと、姫は、
「おっしゃるとおりにいたしましょう。」
といって、すがたをけした。
そこで禅師は目がさめた。
ふしぎなゆめを見たものよ、とおもいながら、朝はやく、禅師が庭にでてみると、どうだろう。
本堂のまえのふとい松の木のちかくに、きれいな水がこんこんとわきでているではないか。
宗見禅師は、すぐこのことを村の人たちに知らせ、ともどもよろこんだ。
この水はかれることなく、村の人たちや寺ののみ水となった。
それからもう、なん百年もたつが慈照寺の庭には、きよらかな水が<竜王水>とよばれ、いまもわきつづけている。 <再話・武田三平>

山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
龍王水
慈照寺の開祖宗見真翁禅師が、或る日龍王湍 即ち今の信玄堤に至り、その深淵に棲む悪龍を済度された。翌夜白髪の異人が来て礼を述べ、自分は竜王湍の主だが,昨日師の徳戒を蒙り解脱するを得た。如何なる御礼をしたらよいかといった。禅師が、この地は水便が悪いから何とかしてくれというと、異人は承諾して去ったが、果たして明日から堂前に清水が湧き出した。異人が杖を立てた跡だから「卓杖水」ともいい、又は「龍王水」とも称えて今に存している。昔は女が汲むと濁るといって、女人の汲み取りを禁じていた。この井水は六尺四方、深さ三尺だが、少人数でも余るということはなく、百人千人でも足らないということはないという。 (中巨摩郡誌)

土橋里木(昭和28年)「甲斐傳説集」山梨民俗の会

このデザインソースに関連する場所

甲斐市竜王629

Old Tale
Archives

物語

山梨各地に伝わる昔話や伝説、言い伝えを収録しています。昔話等の舞台となった地域や場所、物品が特定できたものは取材によって現在の状態を撮影し、その画像も紹介しています。