0558│竜が岳

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ソース場所:富士河口湖町本栖 竜が岳

●ソース元 :・ 内藤恭義(平成3年)「郡内の民話」 なまよみ出版         
●画像撮影  : 2015年11月30日
●データ公開 : 2016年06月24日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他   : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。

 

[概 要]

龍ヶ岳
むかし、富士山をとりまく湖には龍が住んでいた。山中湖に弟橘姫(おとたちばなひめ)が変じたという白龍がいたし、天子ケ岳の裾、田貰湖にも龍が住んでいたという。
河口湖、西湖、精進湖、本栖湖はいまでこそ別々の湖だが、もとは富士谷という一つながりの谷で水を満々とたたえていた。この湖を石花湖(せのうみ)と呼んでいた。
石花湖にも龍が棲んでいた。
龍は富士山に雲を呼び、雨を降らせ、土地の人々にうるおいを与えていた。だがご気嫌を損なうと荒れに荒れ、洪水や暴風をおこして、家を飛ばしたり作物を倒したりして人々は苦しめられた。
人々は龍が怒ることを恐れ、今の西湖の南の青木ケ原にある龍宮穴へ社をつくり、龍を龍神としてあがめ、ただひたすらなだめすかす祀りごとをしていた。
そのききめがあって、天候順調豊年万作平穏無事の年が何年もつづいたのでつい龍神を祀ることを怠ってしまったので龍がおこり出した。
いく日たっても雨が降らなかった。「それ龍神のごきげんを悪くした」と祭りを行なったが、こんどは何日も何日も雨がつづいて、作物はくさったり、せっかく実った麦が芽をふいたり、気温が上らないので作物が育たなかったり、ついには暴風雨まで起すというありさまで、こんな年が二年続き三年めに入った。今年もまた天候不順のようだと感じた村人は、「一向におさまらない龍神のご気嫌は我々の手にはおえない」と、とうとうたまりかねて、「龍神様をなだめることは龍神様より偉い神様にお願いするしかない」と霊山富士を拝して龍をなだめるように木花咲耶姫に願った。
聞いて怒った姫は、山を噴火させ熔岩を石花湖へ流し込んだ。さすがの龍もこれには困った。たまりかねて雨を降らせるのをやめたが木花咲耶姫は許さなかった。あつさにたえ切れず、再びあばれ狂って雨を呼んだが噴火の力で雨粒は地へ届くまえに消えた。
いたたまれなくなった龍は遠くへ遠くへと逃げたが、熔岩は本栖の方まで流れて来たので遂に逃げ場を失って、小富士と呼んでいた山に登り難を逃れた。
このことがあって小富士は龍ケ岳と呼ばれるようになり、石花湖は、流れでてきた熔岩で分断されて本栖湖、精進湖、西湖、河口湖となった。木花咲耶姫の怒りがおさまると、龍は湖水にもどったがすっかりおとなしくなって、めったに大きな悪さをしなくなった。
本当に神様らしくなった龍をあがめて、村人は龍神祭りをいまも続けているが、雨乞いの霊験あらたかであるという。

内藤恭義(平成3年)「郡内の民話」 なまよみ出版

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山梨県富士河口湖町本栖 竜ヶ岳
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