1100│木盗人改心

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ソース場所:南都留郡西桂町小沼2797 浅間神社

●ソース元 :・ 内藤恭義(平成3年)「郡内の民話」 なまよみ出版
●画像撮影  : 2015年07月13日
●データ公開 : 2016年06月24日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他   : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。

[概 要]

木盗人改心
小沼(西桂町)の浅間神社の社人に小佐野和泉守景教(いずみのかみかげのり)という人があった。
朝、必ず禊(みそぎ)をし、境内をはき静め、日の出を遥拝し神殿を拝することを欠かすことはなかった。
あるとき村人が神宮の家を訪ねて
「このあいだ、何者かが社地の樹を盗み伐ったが知っているか」と問うと、
「いわれるまでもなく、そのことは知っておる。毎日境内を掃除していれば、社地の木、一本一本全て憶えがある。一本なくなってもわかるものじゃ」と答えた。
村人は、
「ならばなぜ役人に届け、詮議を願わぬか」と問うた。すると神宮は、
「皆の言いたいことはわかっておる。私もその者の名まで知っておる。さりながら、氏子の中の者がしたことである。神にとって氏子は我が子と等しく、訴えれば、我が氏子より罪人を出すこととなり神の思し召しにかなわぬこととなる。また強いて咎めようとも思わぬ。咎めるだけのことでは、この社地から転じて他の山で伐ることにならぬとも限らない。もしそうなれば罪人となることまぬがれぬ。神に仕えるものとして罪人を出すこと神の意に背く。」と答えた。
村人は盗みをするような者が村にいては大変困るので、ここで何とかしようと思っていたのであるが道理を聞いて「なるほど」とは思ったものの余りの寛大さに拍子ぬけして帰った。
ところが、たちまちこの話は村中に知れわたった。勿論当の木盗人にも知れた。木盗人は大いに自分を恥じ、樹を伐ることをやめたばかりでなく、しばらくして神宮と共に、境内を掃き清める姿が見られるようになったという。
崇厳な感を与え、近寄りがたい人物で敬遠されていたが、このことがあってから郡中第一の神徳ある神宮であると敬慕して訪れる人多く、また、学者でもあったので教えを乞う人もふえて、神宮小佐野和泉守の名声は大いに高まったのである。

内藤恭義(平成3年)「郡内の民話」 なまよみ出版

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