1569│雨畑の仙翁
ソース場所:早川町雨畑
●ソース元 :・ 甲斐志料集成3(昭和7-10年) 甲斐志料刊行会 編
●画像撮影 : 年月日
●データ公開 : 2020年08月28日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他 : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。
【概要】
深山には、神々や、物の怪、神聖な場所、恐れを感じる場所などがある。人が簡単に足を踏み入れることを拒む。しかし、時として怪異の方から近づいてくることもある。むやみに恐れず、騒がず、あるがままを受け入れるのが深山での作法だ。
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雨畑の仙翁
府下より西南に十二里余り、身延山に続いて深山だと伝わる。先国主の時、山奉行の侍が二人連れ添って主用でかの山に入ったが、雨で嶺に登ることが出来なかった。中腹の小寺に泊めてもらうことにした。
折からの雨中に囲碁をしていると、どこからか一人の法師が現れて席上に立って碁の勝負を始めた。身に木の葉をまとい、眼は碧玉(ヘキギョク ジャスパー、緑・青の玉)の様で、白髪は雪を戴いているようでした。山奉行の武士が驚いて僧に問うと、僧は「信玄の時、三次の入道とかいう者が、迹部・長坂の媚びへつらう様を嫌い、この山中に入って仙人となった。そしてこの様な奇異を成す。しかし、人に害の有る事はしない。」という。そのはて、また飛行してどこかへ行ってしまった。
「裏見寒話」 追加 怪談 の項より
【裏見寒話とは、野田成方が甲府勤番士として在任していた享保九年~宝暦三年(1724-1753)までの30年間に見聞きしたり、調べた甲斐の国の地理、風俗、言い伝えなどをまとめたものです。只々聞いたものを記すだけでなく、良く考察されており、当時の様子や、一般の人達にとって常識だった歴史上の事柄を知ることが出来る。】