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「YAMANASHI DESIGN ARCHIVES」は、山梨県に伝わる過去の優れた物品の造形や模様、自然から得られる色彩、今に伝わる昔話・伝説を、 産業上で使用することのできるデザインソースとしてデジタル化して配信する山梨県のプロジェクトです。

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#0357

椹池の赤牛

ソース場所:韮崎市上條北割 さわら池


●ソース元 :・ 山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」     
       ・ 土橋里木(昭和28年)「甲斐傳説集」山梨民俗の会     
●画像撮影  : 2015年11月15日
●データ公開 : 2016年06月24日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他   : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。

【概要】 昔、韮崎の南下条にどんな時でも頭巾をかぶり、他人に額を見られることを恐れた老婆がいました。ある日、急な突風に頭巾が飛ばされ、額の秘密が家族や村人に知られてしまいました。老婆の額には牛の様な二本の角があったのです。老婆は額の秘密を恥じ、逐電し、遂には椹池に身を投げました。老婆は赤牛になり椹池の主になったと伝わります。

椹池の赤牛
むかしむかしの頃、甘利山の東北に南下条という村がありました。そこに奇妙な老婆がいて、他人から額をのぞかれるのを恐れ、どんな時にでも頭巾をかむっておりました。
ところがある日のことです。老婆が川に出て洗濯をしているとき、急に強い風が吹いてきて、頭布を吹き飛ばしてしまったのです。
老婆は驚きあわてました。しかしそこに居合わせ、何気なく老婆の額を見野てしまった里人の方も「あっ」と驚きました。その額には、二本の角が生えているではありませんか!
老婆は、おのれの秘密を知られてしまったのを恐れ、世をはかなんでそのまま家をとび出し鷹ノ田の池へ入水しましたが水が浅くて死ねません。仕方なく鉦を打ち鳴らしながら鳥居峠を越え、椹池に身を投げました。そして赤牛に変身した老婆は、この池にひそむ主となったのです。

*

それから長い年月が流れました。
天正年間のことであります。このあたりの領主、甘利利左衛門ノ尉の双子が、この池に舟を浮べ魚を釣っていたところ、誤って池に落ちあえなく死んだのです。
ところが、その死骸が池から上りません。妖しんだ領主は、これは池の主の仕業にちがいないと考え、里人に主を退治するように命じました。里人らは池のまわりのサワラの木を切っては池に投げ入れ、石や汚物まで運び入れました。
たまりかねた赤牛は、池をとび出し、甘利山を越えて大笹池へとび込みましたが、また追われて御勅使川を下り、野牛島の能蔵池に入って、とうとう死んでしまったのです。
今の鉦打平や堪池の名は、この赤牛になった老婆の話にまつわる因縁からでたのだと言いつたえられています。

山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
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赤牛池
凡そ四百年前、一老婆の額に何病か角を生じた。老婆は手拭を被って隠していたが、洗濯をしていると風が吹いて手拭を飛ばし、頭の二本の角を嫁や近所の某に見られた。老婆は恥じて西山に至り、山中の池に投身してその池の主になった。今の甘利山の椹池(サワライケ)がこれである。その後天文年間領主甘利氏の二子がこの池で釣をし、誤って溺死したがその死骸も水底に沈んで現れない。これは池の主の仕業であろうと、領主は里人に命じて、附近の椹を伐り倒して池中に投げ入れ、その上に土石汚物等を入れて池を埋めた。その時池中から一頭の赤牛が飛び出して大笹池に走った。これは先に投身した老婆の化身で、この赤牛は大笹池に行っても住むことが出来ず、更に中巨摩郡御影村の野牛島(ヤゴシマ)の能蔵池(ノウゾウイケ)に逃げて行ったが、果たしてそこに落着いたかどうか分からない。一説には、同郡源村大嵐の観世音はこの赤牛を祀ったものだという。 (口碑伝説集)

土橋里木(昭和28年)「甲斐傳説集」山梨民俗の会

このデザインソースに関連する場所

韮崎市旭町上條北割 椹池

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