物語
Old Tale
#1241
ピピンピヨドリ(南巨摩郡早川町奈良田に伝わるお話)
ソース場所:早川町奈良田
●ソース元 :・ 「早川のいいつたえ百話」第四集 三井啓心:著 (株)上田印刷所:出版者 平成7年8月1日発行
●画像撮影 : 201年月日
●データ公開 : 2017年10月19日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他 : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。
[概要] 早川町奈良田で採話されたお話。昔々、山小屋におじいさんとおばあさんが住んでいた。ある雪が降って寒い朝、ヒヨドリがこごえているのをおじいさんが見つけ、息を吹きかけ温めてやった。するとヒヨドリは元気になって、おじいさんが大きな口を開けた拍子に、口に飛び込みお腹の中にまで入ってしまった。そしたらおじいさんのおへそからヒヨドリのしっぽが出て来たので、それをちょっと引っ張ってみた。そうしたらお腹の中でヒヨドリが愉快に鳴く。面白がって村の人達に聞かせているうちに評判になって、お殿様の前で聞かせる事になった。いつも通りしっぽを引っ張ると前より良い声で「ピピシピヨドリ、ゴヨノオタカラ、ピッサーヨー」と鳴いたので殿さまは喜んでおじいさんに沢山の褒美をとらせましたとさ。
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ピピンピヨドリ(奈良田のいいつたえ)
昔から、「恩返し」の民話はたくさんあって、人のやさしい心は、鳥、獣にまでも通じるといわれてきました。
奈良田で、うすら寒い日、河原を歩いていたじいさんが、石の上にうずくまって、目をつむっていた、ひよどりを見つけました。すぐ捕まったくらいですから、よほど弱っていたようで、よく見ると、羽根は折れ、胃袋を押してみると、何も入っていないことがわかりました。やれ、かわいそうにと、ふところで暖めながら、家に帰りいろりの端において、水をやったり、すり餌を飲みこませてやると、なんとか、こっちもん(こちらの世界)になりました。
あるとき、じいさんが、舌先に餌をのせて食べさせようとした時、それを取ろうとしたひよどりがいきおいあまって、口の中に飛び込み、腹に入ってしまいました。困ったじいさんが、なんとか引き出そうとしましたが、出すことができません。そのうちに、へそのところから、しっぽの先が見えました。ここから出せばよいということで、その尾をひっぱると、なんと中から、「ピピンピヨドリ、ゴヨウノオタカラ,ピッサアヨ。」ときれいな鳴き声が聞こえます。これは面白いとまたひいてみると、「ピピンピヨドリ」と、はじめます。
この話が評判になって、お城まで聞こえ、殿様も、「その者を連れて参れ。」ということになりました。殿様の前でかしこまったじいさんが、尾を引くと「ピピンピヨドリ、ゴヨウノオタカラ」がはじまって、聞いている人は大笑いでした。
褒美を背負って帰った、じいさんの評判は、ますます高くなって、その鳴き声を聞きに来る人が増えました。当然お礼も置いていくので、じいさんはとても裕福になったということです。
★うらも(私も)、ぴぴんぴよどりを、聞いてみてえに(みたいよ)。
(「早川のいいつたえ百話」第四集 著:三井啓心 出版社:㈱上田印刷所 より)
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山梨各地に伝わる昔話や伝説、言い伝えを収録しています。昔話等の舞台となった地域や場所、物品が特定できたものは取材によって現在の状態を撮影し、その画像も紹介しています。