物語
Old Tale
#0544
粘土節
ソース場所:中央市臼井阿原1740 ふるさと公園内 粘土節の碑
●ソース元 :・ 山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
・ふるさと公園内 粘土節歌碑
●画像撮影 : 201年月日
●データ公開 : 2016年06月24日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他 : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。
【概要】 山梨県中巨摩地方で歌い継がれた労働歌に「粘土節」があります。 この地域を流れる釜無川は昔から地域を悩ます暴れ川で、武田信玄は大きな堤防工事として「信玄堤」など各種の工事を施したが、それ以降も時々暴れ川は人間の努力をあざ笑うかのように大きな氾濫を繰り返した。人々はその度、堤防の改修補修工事を繰り返したが、その作業は当時の技術ではとても厳しく、男性だけでなく女性や老人も尽力した。厳しい労働の辛さを紛らすため、また作業の調子をとるため、自然発生的にこのような労働歌が歌われるようになった。 その時々で歌の上手な美しい娘が人々の中で人気を集めた事でしょう。明治時代の堤防工事で歌われた粘土節の歌詞の中には歌の上手な「おたかさん」の名前が残っている。
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粘土節
粘土節は中郡(中巨摩)地方の、堤防工事に働いた男女間に歌い継がれた作業歌です。
駒ヶ岳の麓から流れる釜無川は、大昔からの暴れ川で度々犬洪水となり、特に明治十八年の大水は小井川村花輪村はもちろんのこと、盆地一帯を泥や砂の海にしてしまったといわれています。この大洪水の二年あと国では堤防の大改修工事を行うことになりました。
工事に携わった人たちは大部分が地元の村々へ割り当てられた義務人足でした。工事は堤防の土を盛りあげるために、土を入れたかごを天びん棒でかついでいって運ぶ作業から始められ、重労働なので力のある若者があたりました。粘土は竜王村の赤坂や今諏訪村から長い距離を運びましたが、その間は幾人かの人がリレー式に運び、これを「継ぎかつぎ」といっていました。
一方女性や老人などは杵や平打ちという道具を持って、運ばれてきた土でつくられた堤を固める作業をしました。(杵は今の餅つき杵の頭を短くしたようなもので、粘土を打ち固めるのに使い、平打ちは厚い板に柄をつけたもので、斜面を平たく打つに使ったのです。)
作業する人たちは、広い河原で単調な仕事を繰り返しているうちに誰彼の区別なく、普段やっている田の草取りや盆唄を唄うようになり、それらの唄は自然にに杵や平打ち
と合うようになって、いつの間にか粘土節となっていきました。(粘土節の一節に「平打ちを ぶっかついで ゆっくりついておくれ 杵と調子が合うように」というのがあります)
地元の山之神集落から義務人足に出てきたお高やんは、そのころ十八歳で大変な器量よしの上に、その甘いつやのある声は、粘土打ち作業とよく調子があっていました。
男の作業員たちはお高やんの唄をただうっとりと聞きながら楽しく手を動かしていたので、作業は驚くほどはかどり、また美人お高やんの唄を聞きたいばかりに大勢集まってきました。
(歌の中には、「お高やんの歌声きけば 重いビール(トロッコ)もかるくなる」という文句のものも生まれたくらいです。)このような作業は七年も続けられて、やがて汗と油の結晶で、今日あるりっぱな堤防が築かれました。 (田富町)
山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
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ハー 粘土お高やんが こないなんていえば 広い河原も真の闇
広い河原も真の闇 (ハー ゴッション ゴッション)
ハー 粘土つくにも 襦子の帯ョしめて 嫁に行く時ゃ 何ョしめる
嫁に行く時ゃ 何ョしめる (ハー ゴッション ゴッション)
ハー 平ぶちょぶっかついで ゆっくりついておくれ 唄と調子が 合うように
唄と調子が 合うように (ハー ゴッション ゴッション)
ハー 粘土お高やんの 唄声聞けば 重いビールも 軽くなる
重いビールも 軽くなる (ハー ゴッション ゴッション)
ハー 粘土つくにも 紅白粉で 堅い石屋さんを 迷わせる
堅い石屋さんを 迷わせる (ハー ゴッション ゴッション)
ハー ビールで来たかい イカダで来たか みんな国土を 守る土
みんな国土を 守る土 (ハー ゴッション ゴッション)
ハー 見せてやりたや 釜無の土手の 粘土お高やんの 日よけ松
粘土お高やんの 日よけ松 (ハー ゴッション ゴッション)
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