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「YAMANASHI DESIGN ARCHIVES」は、山梨県に伝わる過去の優れた物品の造形や模様、自然から得られる色彩、今に伝わる昔話・伝説を、産業上で使用することのできるデザインソースとしてデジタル化して配信する山梨県のプロジェクトです。

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The “YAMANASHI DESIGN ARCHIVE” is a project in Yamanashi prefecture that distributes the design sources of shapes and patterns of fine goods that have been passed down in Yamanashi prefecture since the past, colors from nature, old tales and legends that have been passed down to the present, and written material that has existed in the region since ancient times through a digital format for industrial use. Please make use of these sources for product development, education and research, service development, etc.

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Old Tale

#1550

「デク」ころがし

ソース場所:南巨摩郡早川町黒桂


●ソース元 :・ 「早川のいいつたえ」第四集  著者:三井啓心  出版社:㈱上田印刷
       ・ 峡南教育事務所・峡南地域教育情報誌『かけはし』  第126号(2014年3月)より   
●画像撮影  : 年月日
●データ公開 : 2020年08月21日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他   : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。

【概要】  早川町黒桂に伝わる伝統の厄除け行事に、「デク(木偶の事か?)ころがし」という少々荒っぽい行事がありました。少子化などにより実際に見た事、やった事のない世代が増えてきました。大人にとっては、懐かしいけれど自分の家の座敷で暴れられるとなると少々憂い事ですが、地域の子供たちのためならと、早川北小に協力して地域で復活させたそうです。

 

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黒桂[ツヅラ]のいいつたえ
『「デク」ころがし』

悪魔はらいは、荒っぽい神様にお出まし願って、あばれまくって、追い出してもらうのが一番です。この荒っぽい神様の顔を、描いた「デク」を、座敷中転がしてまわる行事を、残しているのが、黒桂です。
昔、この集落に、はやり病がひろがって、病気の根が、なかなか切れず、多くの子どもがあの世へ移りました。
「なんとかしねえ[しないと]、子どもん、絶えちもうわ。」ということで、それには、道祖神様の力を借りるのが、一番ということになりました。
そうかといっても、御神体の石を、かつぎ出すわけにはいきませんから、そこで思いついたのが、三十センチばかりに切った丸太です。それに恐ろしい顔を描きました。道祖神は男女の神が寄り添う、やさしい姿から、いかめしい、猿田彦命もありますが、いづれにせよ、本来は、悪魔祓いの神です。
丸太の「デク」に姿を移した神様を、これまたその使いとして、子どもは顔に墨でひげをつけて、厄よけや、お祓いをしてほしいと願う家に乗り込みます。「デク」を座敷中に転がして、まわるので、これには、疫病神も貧乏神もたまらず、逃げ出して、この家は、御安泰となります。
子どもの方も、ふだんは、飛び歩くと怒られるよその座敷で、あばれられるので、ごきげんです。調子にのって、「お祝なって、お祝なって。」とご祝儀まで要求します。畳の切れるのを心配しながら、でも、子どものやることだからと、つくり笑いをしながら、主人がご祝儀を出すと、子どもの方もちゃっかりしたのが、会計責任者になっていて、袋をすばやくのぞき、予定より少なければ、「祝っとくれ、祝っとくれ」と請求し、「デク」をまた転がします。一時は絶えてしまったこの行事ですが、さいわいなことに、平成四年からまた復活しました。

★ 神様ん[が]、子どもを連れて来とうずらか。

(「早川のいいつたえ」第四集より)
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シリーズ『峡南地域の祭事探訪』(26) ~早川町・黒桂地区の「デク転がし」~

今回の「祭事探訪」は、早川北小の皆さんが取り組んだ成果をご紹介します。

テーマ③ 黒桂(つづら)地区に伝わる「デク転がし」
黒桂地区には「デク転がし」という不思議な風習があります。早川北小の三年生はこれにも興味を持ち取り組んでみることにしました。まず町で発行している資料を基に自分たちで調べ、疑問点について黒桂の住民に質問を重ねました。
昔この集落ではやり病が広がって病気の根がなかなか切れず、多くの子供が命を落としました。集落の人は、「なんとかしねえと、子どもん、絶えちもうわ」ということで、それには道祖神様の力を借りるのが一番ということになり、「デク転がし」が始まりました。道祖神は、本来は悪魔はらいの神です。丸太の「デク」に姿を移した神様にその使いの子ども達が顔に墨でひげをつけて、厄除けやお祓いをしてほしい家に行き、「デク」を座敷中に転がしてまわるので、疫病神も貧乏神もたまらず逃げ出してしまいその家が安泰になるのだそうです。
悪魔祓いは、荒っぽい神様にお出まし願って、暴れまくって追い出してもらいます。この荒っぽい神様の顔を描いた「デク」を、座敷中転がしてまわる行事を残しているのは現在は黒桂地区だけなのだそうです。
学んでいく中で、杉の木に顔を描くことやその顔にはみな意味があること、昔は男の子だけでやっていたこと、「祝ってくりょー」「もっとくりょー」といって家々をまわっていたことなどを知ることができました。子ども達は調べていくうちに次第に「デク」に愛着を抱くようになり、学習のまとめとしてミニデクのストラップを作り、魔除けの顔を描いたり、願い事を書いたりしました。感想で子ども達は、「デク転がしは、昔はやっていたけれど今はやっていない。デク転がしをやっていることが想像できるようになったけど、実際にデク転がしをやったことがないからやってみたい。復活してほしい」と話していました。3月の授業参観では調べた成果を発表し、作ったミニデクを保護者にプレゼントしました。

(峡南教育事務所・峡南地域教育情報誌『かけはし』  第126号(2014年3月)より)

このデザインソースに関連する場所

南巨摩郡早川町黒桂

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山梨各地に伝わる昔話や伝説、言い伝えを収録しています。昔話等の舞台となった地域や場所、物品が特定できたものは取材によって現在の状態を撮影し、その画像も紹介しています。