物語
Old Tale
#1553
塩の池
ソース場所:奈良田八幡社公園 早川町奈良田766
●ソース元 :・ 「早川のいいつたえ」第三集 著者:三井啓心 出版社:㈱上田印刷
●画像撮影 : 年月日
●データ公開 : 2020年08月21日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他 : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。
【概要】 最近は「高血圧で塩分を抑えてます」とか「おじいちゃん、そんなに塩辛いものばかり食べてると病気になるよ」とか、嫌われがちな塩ですが、足りなければそれこそ人間の命に係わる大切なものです。しかし、山梨県のような内陸の地の中でも、更に険しい道を辿った先にある奈良田では、塩を手に入れるのに大変な苦労をしたことでしょう。しかし、この地には塩気の多い泉があります。泉にまつわる言い伝えを紹介します。
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奈良田のいいつたえ
『塩の池』
奈良田の七不思議を並べてみると、
一、二羽がらす(第一集で紹介)
二、洗濯池 (第二集で紹介)
三、塩の池
四、護符水
五、染物池
六、片葉の葦
七、奈良田七段
となりますが、そのほとんどが、奈良王さま(孝謙[コウケン]天皇)につながっています。
塩の池も、このひとつで、山奥で、ほかの土地との交流が少ない奈良田では、人間の生活に欠かせない塩がなかなか手に入らなくて、困っていました。
この地に、仮宮を建てられた奈良王さまは、あわれに思われて、地の神にこの難儀を救ってくれるように頼みました。ほかならぬ王の頼みを聞いて、地の神は、塩気の多い泉を湧き出させてくれましたが、これによって、里人たちは食べ物の味つけが出来るようになりました。
この塩の池は、現在、集落の反対側、つまり、湖を越したところにあります。町では、観光施設のひとつとして、数年前、この湖に、とても長いつり橋をかけました。
これを渡って行くと、ちょっと公園風になったところがあって、塩の池もここにありますから、でかけてみてください。
小さな泉にすぎませんが、塩分は濃くて、この水を煮詰めますと、たしかに、塩の粒子がとれます。
かつては、製塩し、奈良田の名物として、売ったこともあると聞いています。いつだったか、子供たちが理科の実験に、煮詰めて作った、この池の塩を、ちょっとなめてみましたが、塩化ナトリウム九九パーセントの食塩と違って、やわらかい塩味がありました。
洗濯池やら、染物池と、なかなかボランティア精神旺盛な孝謙天皇さま、本当に奈良田においでになったのか、ならなかったのか。
「まあ、ここでは、そうした歴史上の詮索は、いらんちゅうこんどう[いらないということですよ]」
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山梨各地に伝わる昔話や伝説、言い伝えを収録しています。昔話等の舞台となった地域や場所、物品が特定できたものは取材によって現在の状態を撮影し、その画像も紹介しています。