0541│コワシミズ

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ソース場所:甲府市右左口町

●ソース元 :・ 山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
●画像撮影  : 201年月日
●データ公開 : 2016年06月24日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他   : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。

 

[概 要]

強清水
中道往還の右左口峠の中腹に、強清水(コワシミズ)と呼ぶ清水の湧き出ているところがあります。夏の間峠を越える旅人にとっては、のどの渇きをうるおすのにこの清水はなくてはならないものでした。
むかし右左口峠の反対側の上九一色村に、親孝行の若者が父親と二人で住んでいました。若者は毎日山へ炭焼きに行っては、その炭を背負って右左口峠を越え、甲府の町へ売りに出てきてそのお金で父親を養っていました。父親は酒好きで、若者は毎日竹の筒へ一本づつ酒を買って父親へのみやげとしていました。
ある日炭が思うように売れず、酒を買う金にもならなくて若者はどうしようかと思案しながら右左口峠まで差しかかり、清水のところまで来て、仕方なくこの清水を竹筒に詰めて、父親に事情を話して我慢してもらうことにしました。ところがその清水を飲んだ父親は「これは諸白の酒だ」と喜んで飲みました。そんなはずはないと思って、若者は一口飲んでみるとやはりただの水でした。しかし父親が飲んでみると間違いなく酒です。若者は「不思議なこともあればあるもんだあ」と驚いていました。
これは神様が孝行の徳をほめて清水を酒に変えたものでありました。それから後は村人たちの間では「親はモロハク子はシミズ」と評判になり、清水の名もコワシミズと名づけられました。

※「諸白」とはよく精白したこうじと、 米を用いてかもした上質の酒のことです。
(中道町)
山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」

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