1228│御姫淵
ソース場所:道志村湯本
●ソース元 :・ 伊藤堅吉(昭和28年)「道志七里」 http://www2.ttcn.ne.jp/~hisabo/densetu.html#Anchor-15135
・ 土橋里木(昭和28年)「甲斐傳説集」山梨民俗の会
●画像撮影 : 2017年11月16日
●データ公開 : 201年月日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他 : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。
[概要]
御姫淵
湯本に惣兵衛という木こりが住んでいた。道志川に御姫淵という深淵があるが、惣兵衛翁は淵に差し出た川辺の崖で木を倒していたら誤って斧を淵へ落としてしまった。斧を拾うために淵へ飛び込むとそこでは河の女神機姫が機織りをしていた。翁は恐る恐る姫に近づき落としてしまった斧の一件を訪ねると姫の傍にその斧が置いてあったがなかなか返しては貰えなかった。
機姫は翁に向かい道志の里の艶話をしてくれれば斧を返すと言うので翁はこれに応えて里に秘められた数々の話を詳しく語り聞かせると、姫はたいそう歓び歓迎の宴を開きいつしか三夜を過ごしてしまった。
斧を返してもらった翁は土産に機の糸管を手渡され、家に帰ってみると家ではなんと僧侶や親族が車座となって翁の三回忌の法要をしていた。翁はたいそう驚いたが、とにかく家に入ると今度は一同が腰を抜かした。しかし、幽霊でもなさそうだとわかると法要は祝いの宴に変わった。
その後翁は奥さんに機姫から貰い受けた糸管を使い機を織らせていたが不思議なことに糸はいくら使っても一向に無くなる様子がない。この話は近所で話題になり、その一人が媼に訪ねると、媼はうかつにも御姫淵の話を口外してしまった。すると糸管は忽然と消え去り翁媼はただ唖然とする他はなかった。
御姫淵からこのとき不思議な怪鳥が飛び出したが、そのときに湯本の犬鶏家畜をすべて攫っていってしまった。その後湯本では犬鶏家畜を飼うことが出来なくなってしまった。
伊藤堅吉(昭和28年)「道志七里」 参照
http://www2.ttcn.ne.jp/~hisabo/densetu.html#Anchor-15135
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膳椀淵
湯本のかま淵に、或男が誤って斧を落とし、水をくぐって取りに行くと、淵の中でお姫様が機を織っていた。落とした斧の外に木管をも頂いて帰り、その後は木管を持ってかま淵の岸に立ち、欲しい物の名を云って頼むと何でも貸してくれた。この淵はそれ以来膳椀などを貸してくれる便利な淵となったが、お姫様から鶏の声をさせてくれるなと云われた言葉を忘れ、鶏を飼ったためにその後は何も貸してくれなくなったという。
この様な伝説を伝える淵が郡内には四ヶ所もあり、東桂村鹿留のおなん淵、初狩村のかつら淵、大月町真木川の上流桑田の奥のまさかり淵など、皆膳椀を貸した淵である。 (甲州年中行事)
土橋里木(昭和28年)「甲斐傳説集」山梨民俗の会