物語
Old Tale
#0563
大聖寺のお不動さん
ソース場所:南巨摩郡身延町八日市場539 大聖寺
●ソース元 :・ 山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
●画像撮影 : 2015年10月23日
●データ公開 : 2016年06月24日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他 : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。
[概 要] 大聖寺は長治2年(1105)、新羅三郎義光が開いたとされる。 曾孫にあたる加賀美遠光が、宮中で魔物を退散させた功により、高倉天皇より弘法大師の一刀三礼の名作である不動明王像を賜った。加賀美の館に向けて運んでいたところ、この付近で一天俄かにかき曇り、闇の中から不動明王の侍童という童子が現れ「新羅三郎の開いた寺に祀るよう」言ったので、大聖寺に祀られるようになったという。
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大聖寺のお不動さん
八日市場(中富町)に、新羅三郎義光が開いたと伝える大聖寺(真言宗)があります。本尊のお不動さんは、義光の子孫である加賀美遠光がお祀りしたものと伝えられています。
遠光は宮中に仕え、弓の名人で天皇の御所に出没する魔物「ヌエ」を射落した功績をたたえられて、天皇から何なりと欲しいものをいいなさいとの仰せをいただき、さっそく宮中の清涼殿に安置してあった、弘法大師の一刀三札の名作、大聖不動明王を賜わりたいと申し出ました。望み通り明王を賜わった義光は喜んで甲斐の国の加賀美の館(若草町)に護り奉ろうと帰国の道を急ぎました。たまたま富士川べりを上り八日市場を通り過ぎて、日下りの坂道にさしかかりますと、そのとき一天俄かにかき曇ってあたりは薄暗くなり、胸苦しさに襲われました。
やがてのことに、その薄暗い中から童子が現われて、
「これから南八丁のところに、ご先祖の開いた寺がある。この寺こそ不動明王を祀るのにふさわしいところである。ここに安置せよ。我は不動明王の侍童なり。」
と告げ終って姿を消し、再び明るさがもどりました。
日下りの坂はこの故事によるといいます。またその地を不動平といい、明王を一時安置した岩を不動岩とよんでいます。
近くには手打沢という地名もあって、これは拍手の札を行なったところ、町屋の地名は先手の従士が待ちわびたところ、蟹谷の見返りの滝は、義光が身を浄めて遥拝したところなどと語り伝えられています。
大聖寺のお不動さんは雷がおきらいで、これが鬼門除けとなり、八日市場には落雷がないと信ずるようになりました。
現在、この不動明王は、国の重要文化財になっていて、毎年三月二十八日の縁日には八日市も立って賑わいます。(中富町)
山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
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