物語
Old Tale
#1504
輪鳴り地蔵
ソース場所:南巨摩郡身延町三澤勝坂
●ソース元 :・ 土橋里木(昭和51年)「甲州の伝説」甲州伝説散歩 ㈱角川書店 を参考にしました。
●画像撮影 : 201年月日
●データ公開 : 2018年05月08日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他 : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。
[概要] 昔、武田信玄がこの地で休息した際、うとうとと夢の中に地蔵尊の姿を見たので、目覚めると近くの石に「地蔵尊」と書いて供養した。そののち、今川軍がこの坂下まで攻め寄せたところ、異様なうなり声が響き、今川軍には周辺の雑木が多くの武田軍に感じ、驚いて逃げ去った。唸り声に聞こえたのは、地蔵にかけてあった金の輪でした。それで、この地蔵を「輪鳴り地蔵」と呼んだ。
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中世からの駿州往還の宿場 岩間(市川三郷町岩間)から勝坂峠を越え 常葉(身延町常葉)へ出る東河内路は、(岩間宿から渡し舟で富士川を渡り)富士川右岸沿いを行く駿州往還の脇往還的な役割を果たし、古から甲州と駿河を繋ぐ重要街道でした。
JR身延線は、その東河内路に沿って延びています。
身延線 久那土駅から 市ノ瀬駅 方向へ向かうと、途中トンネルに入る。このトンネルのあたりが、旧街道の勝坂と呼ばれる峠です。
昔、武田信玄がこの峠で休息した際、眠気を催し 地蔵尊の姿を夢に見た。この霊夢から信玄は目覚めると、直ぐに腰の矢立を取り、目前の石に「地蔵尊」と印し、篤く供養したという。
時代は下り、今川義元の大軍がこの坂下まで押し寄せて来た。しかし、細い峠の坂道にかかると、木々が鬱蒼と茂り薄暗く不安を覚えた。武田勢がここまで簡単に侵入を許すなんて事があるだろうか?山の雑木がゆれるのが、武田勢の待ち伏せに見えた。完全に腰が引けた状態で坂道に架かると、どこからともなく異様な唸り声の様なものが聞こえた。今川勢は驚き、われ先にと逃げ去っていった。
この唸り声の様なものは、地蔵に掛けてあった金の輪が鳴ったものだったと云う。それで、地蔵を「輪鳴り地蔵(ワンナリジゾウ)」と呼んだ。(現在「勝坂公民館」の中に輪鳴り地蔵様は祀られています。)
また、今川勢との戦いに勝ったので、この坂を勝坂(カンザカ)と呼ぶようになったと伝わります。
土橋里木(昭和51年)「甲州の伝説」甲州伝説散歩 ㈱角川書店 を参考にしました。
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