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「YAMANASHI DESIGN ARCHIVES」は、山梨県に伝わる過去の優れた物品の造形や模様、自然から得られる色彩、今に伝わる昔話・伝説を、産業上で使用することのできるデザインソースとしてデジタル化して配信する山梨県のプロジェクトです。

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The “YAMANASHI DESIGN ARCHIVE” is a project in Yamanashi prefecture that distributes the design sources of shapes and patterns of fine goods that have been passed down in Yamanashi prefecture since the past, colors from nature, old tales and legends that have been passed down to the present, and written material that has existed in the region since ancient times through a digital format for industrial use. Please make use of these sources for product development, education and research, service development, etc.

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#1560

甲府の節分祭(横近習大神宮 甲府市中央2-7-23・柳町大神宮 甲府市中央4-5)

ソース場所:横近習大神宮 甲府市中央2-7-23


●ソース元 :・ 甲斐志料集成3(昭和7-10年)  甲斐志料刊行会 編 甲斐志料刊行会 編『甲斐志料集成』3,甲斐志料刊行会,昭和7至10. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1240842 (参照 2024-08-27)  
●画像撮影  : 年月日
●データ公開 : 2020年08月25日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他   : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。

【概要】  甲府の節分祭
幼い子供を連れ甲府に転勤してきた方が驚いていた。「甲府って幼稚園に先生とか父兄とかじゃない鬼が来るのね。子どもがびっくりしていたわ。」「お友達から鬼のお祭りに行こう!って言われて、節分の豆まきに皆さん行かれるのねと思っていたらホントに鬼のお祭りって感じなのね。また連れていきたいわ」
甲府に生まれ育つと、節分は、鬼が家の中まで走りこんできて逃げる子供を捕まえ逆さづりにしたり、夜、節分の夜祭に行くと太鼓の音と共に神社から鬼が走り出してきて、子供たちを追いかけまわしたりするものだと思っていた。最近は、ぐっと鬼も柔らかくなり、家の中まで駆けこまないし、子供が泣くまで追いかけないし、お願いすれば怯えた子供を抱っこして記念写真にもおさまってくれたりするけれど、やっぱり油断していると背後から「ばあ」って脅かされたりする、子供の悲鳴と大人たちの笑いが溢れるお祭りです。節分祭と書きましたが、地元では「大神さん」と呼びます。
江戸時代から節分は笑いに溢れるお祭りだったようです。「裏見寒話」から紹介します。

 

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正月 節分追儺
山田町伊勢宮で烏帽子に素袍[スオウ]姿の男が出てきて、枡に煎り豆を入れて四方を眺めると、鬼形の者が神前を走るので、煎り豆と梅の打枝で鬼を追う。
鬼は追われて見物人の中へ入る。その時、鬼は手のひらに油煙炭を塗って見物人の衣類に塗ろうとするのを、塗られまいと走り回る。大笑いして賑やかな祭りである。

「裏見寒話」 巻之六 風俗 の項より

【裏見寒話とは、野田成方が甲府勤番士として在任していた享保九年~宝暦三年(1724-1753)までの30年間に見聞きしたり、調べた甲斐の国の地理、風俗、言い伝えなどをまとめたものです。只々聞いたものを記すだけでなく、良く考察されており、当時の様子や、一般の人達にとって常識だった歴史上の事柄を知ることが出来る。】

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甲府の節分ならではの物というと、熊手のような縁起物や甲州だるまなどありますが、ここでは「大神さん」ならではのお菓子を紹介します。
切山椒・・・・・・山椒の香りのするスアマ餅のようなもので、白、薄いピンク、薄緑色、黒糖色などカラフルに着色され、短冊形に切った物で、邪気払いに家族でいただきます。かわいらしい見た目と、柔らかな触り心地なのですが、子供のころには山椒の香りと微かなスースーする感じが苦手でした。でも、いつしか節分が来ると手に取るようになる郷土の懐かしい菓子です。
かや飴・・・・・・かやの実を砕いて飴に入れ板状に固めた物。節分の「大神さん」だけでなく、「十日市」(南アルプス市若草)や「厄地蔵さん」(甲府市湯村)など甲斐の国に春を告げるお祭りには欠かせない飴です。桜の時期の身延山でも見かけたと聞いたことがあるので、季節の郷土菓子のようです。我が家ではあまり購入する機会がなかったのですが、正直に言うと、、、ミルキーやチェルシー、アーモンドキャラメルと美味しい飴に慣れた数十年前の子供の口には、、、微妙、、でした。友人に聞くと「まあね、すごく旨い!って感じじゃないけど、懐かしいからつい買っちゃうよね?」毎年食べていた人と、たった一度食べただけの人の違いみたいです。
がらがら・・・・・「瓦せんべい」のような甘いせんべいなのですが、とっても大きく円状に焼き、熱々のせんべいの中心におもちゃを置き、三方からゆるーく中のおもちゃを隠すように折り曲げた物。サイズは何種類かあったようですが、大体一辺が25cm程の三角で、厚みは5~6cm程だったでしょうか?買ってもらった子供たちは、がらがらと音をたてふりながらどんなおもちゃが入っているか楽しみにしていました。おもちゃは男の子向けと女の子向けがあり、トミカじゃないミニカーとか、つなげてアクセサリーにするプラスチックの「チエリング」とか、いかにもおまけ的なおもちゃが入っていました。そんなことは子供でも承知していましたが、見えないだけにせんべいを割っておもちゃの姿をアガメる時の興奮はなかなかのものでした。子供の射幸心を煽る魅惑のお菓子です。おいしいお菓子をたくさん知っている現代の子供たちも、顔より大きな「がらがら」を渡されるとかわいらしい笑顔があふれます。

このデザインソースに関連する場所

横近習大神宮 甲府市中央2-7-23

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山梨各地に伝わる昔話や伝説、言い伝えを収録しています。昔話等の舞台となった地域や場所、物品が特定できたものは取材によって現在の状態を撮影し、その画像も紹介しています。