物語
Old Tale
#1174
富士山の神 木花開耶姫
ソース場所:冨士山小御嶽神社五合目鎮座
●ソース元 :・ 山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
●画像撮影 : 2015年11月04日(富士山)・2018年08月26日(冨士山小御嶽神社五合目鎮座)
●データ公開 : 2017年01月05日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他 : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。
[概要] 昔、天孫ニニギノミコトが国見で全国をまわっていた時、素晴らしく美しい女の神様をみそめられ、彼女の父神オオヤマズミノミコトのもとへ結婚の申し入れをしに行った。すると、父神には二人の姫がいて、一人は容姿は優れないが永遠を司るイワナガヒメ、もう一人は美しく火のように激しい儚さを司るコノハナサクヤヒメでした。ニニギノミコトが見初めたのはコノハナサクヤヒメでした。富士山は時代により頻繁に噴火していた期間もあり、美しく、火のように激しく、そして儚さの象徴であるコノハナサクヤヒメが富士山の女神となりました。
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富士山の神 木花開耶姫
むかし、昔、大昔、天孫ニニギノミコトが国見にまわっておられたとき、素晴らしく美しい女の神様をみそめられました。
ミコトはさっそく、
「おはえは、誰の子であるのか」
と、尋ねられました。女の神様は、
「ハイ、私はオオヤマズミノミコトの子でございます」
と、答えられました。
美しく、しとやかな女らしさを、すっかり気に入ったニニギノミコトは、すぐ父君のミコトをたずね、
「おたくの姫を、わたしの嫁にほしい。」
と申しでたところ、父神は大喜びですぐ一人の娘を見合わせました。実はこの姫、イワナガヒメといい、美人とみそめられた姫の姉で、醜女でした。ニニギノミコトは、
「この姫ではない、もう一人の姫だ。」
と、言うと、父神は『やはりそうか』と妹姫を呼んで見合わせました。この姫こそ一目惚れした女神で、コノハナサクヤヒメと言われる方であり、ニニギノミコトはすぐ姫を后にされました。
姫は、それはそれは美しく、まるで富士桜が匂っているように、下を向いて優しく口をきくのが、何とも美しく、まさに、木の花が咲き匂う風情だったのです。
この姫こそやがて富士山の神となり、文徳天皇の仁寿三年に、浅間祭神として官社に列せられた、木花開耶姫命なのです。
さて、姉神の盤長姫は、いつもいつも妹姫の美しさに負け、最後には御腹立ちあまり、
[妹姫が神となっている富士山の見える所には、美人を産ませない。」
と言われました。
しかし、今はお怒りもすっかりとかれ、富士山五合目の小御嶽神社に、妹姫と共に祭られ、丈夫で長生き、交通安全の神として人々の尊敬を集めながら、栄え祀られておられることは、目出たいことです。
山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
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