物語
Old Tale
#1192
大橋
ソース場所:甲府市国玉町 大橋五條天神社
●ソース元 :・ 裏見寒話 追加 怪談 の項より
甲斐志料刊行会 編『甲斐志料集成』3,甲斐志料刊行会,昭和7至10. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1240842 (参照 2024-05-24)
●画像撮影 : 2017年02月04日
●データ公開 : 2017年02月07日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他 : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。
[概要] 甲府市東部 蓬沢の辺り、若彦路(甲斐国と駿河国を結ぶ街道)を行くと濁川に架かる橋がある。今、濁川は改修されていてこの川に架かる橋はさほど大きなものではないが、以前は湿地や沼が多くそこを渡るため長い橋が架かっていたという。旅人が行き逢う大切な橋ですが、市街地から外れ夕方などには寂しい感じのする場所だったのでしょう。この橋には色々な不思議なお話が伝わっています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〇国玉村の大橋
国玉村に小さい橋がある。大橋と名前がついている。この橋上で猿橋の事を話すと怪異現象がおこる。猿橋で大橋の事を話せば、又、怪異現象がおこる。 そのいわれを尋ねると、昔、江戸から来た人が猿橋を渡る時、大橋の噂をすると、一人の婦人が来て、「甲府へ行くのならこの手紙を国玉の大橋へ届けて下さい」と云う。その旅人は承諾して手紙を預かったのですが、道中その手紙に何となく嫌な気配を感じ、途中でこっそり開けてみると「この人を殺すべし」と書かれていた。旅人はびっくりして「この人、殺すべからず」と書き直した。 国玉へ行くと、一人の婦人が憤怒に満ち満ちた険しい顔でやって来た。 しかし、手紙に「殺すべからず」とあるのを見ると、婦人は途端に欣然として(喜んで)、その手紙を届けてくれた礼を言い、旅人はつつがなく済んだと云う。実に笑える話である。これがこの国の人達のこの橋に対する専らの説である。
〇三輪の雪隠
西條道にあり。ここで「三輪」の謡(*三輪明神の女神ですら衆生を救うため迷い、人と同じように苦しみ、救いを求めてしまうという幻想的な謡)を唄えば怪異現象がおこる。 また、国玉の大橋で「葵上」の謡(*源氏物語に題材をとった、葵上と六条御息所との愛の確執をテーマにした怨霊物の謡)を唄えば道がわからなくなり、「三輪」を唄えば、霧が晴れる様に道が明らかになるという。 謡の内容をこじつけた怪異話なのだろう。
裏見寒話 追加 怪談の項 より・・・「甲斐志料集成」3 p247
・・・
国玉村に大橋と土橋という橋がある。至って小さな橋ですが、この二つの場所には怪異があるという。
裏見寒話 追加 怪談の項 より・・・「甲斐志料集成」3 p131
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大橋は現在の城東大橋と国里橋の中間にあったそうです。今の濁川と大円川の合流地点辺りでしょうか。この合流点に大橋五條天神社があります。時代時代で河川の流域は変化しますが、この神社が大橋の場所を今に伝えています。
このデザインソースに関連する場所
Old Tale
Archives
物語
山梨各地に伝わる昔話や伝説、言い伝えを収録しています。昔話等の舞台となった地域や場所、物品が特定できたものは取材によって現在の状態を撮影し、その画像も紹介しています。