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Old Tale
#1541
西野姫の伝説(南アルプス市西野)
ソース場所:南アルプス市西野 西原五輪塔群(35.640090, 138.480941)グーグルマップで示されている場所の南側
●ソース元 :・ 山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
●画像撮影 : 201年月日
●データ公開 : 2018年10月02日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他 : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。
[概要] 甲斐の国を武田信虎がまとめようとしていた頃のお話。今の南アルプス市西野辺りを治めていた小豪族は家の安定を願い、その頃一番勢いのあった武田氏と縁戚関係になりたいと、西野姫という美しい娘と、信虎の婚約をまとめ、多くの家来に付き添わせて姫を信虎の所へ送り出した。がその守備が薄くなった時を近隣の豪族(大井氏)に狙われ、全滅してしまったという。当時の武家の婚姻は、戦略上の手段でもあったので、西野姫は尼となり生涯一族の冥福を祈った。信虎は外には駿河の今川氏、国内には武田氏のなかの宗家争い、また甲斐國内の多くの豪族たちという戦乱の世を勝ち残り、もしくは相手を手中におさめ和睦して配下につけていった。そして国内の強敵であった大井氏とも和睦を結び、大井氏の娘「大井の方」を正室に迎えた。
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西野姫の伝説
戦国時代の初め、甲斐の国でも各地に豪族が蜂起し、勢力争いをしていました。東に栗原信友。辺見に今井信是。西郡に大井上野介信達。石和には武田信虎がいましたが、中でも武田氏の勢力はいちばん優れていて、信虎はなんとか甲斐の国の統領になろうとして、日夜虎視耽々としていました。
そのころ西野に明慶院という小豪族がいましたが、常に隣りの大井氏におびやかされていました。そこで明慶院は武田氏と結びつき力を借りたいものと考えました。
明慶院には西野姫というたいへん美しい姫がいたので、この姫を信虎に嫁がせたいと思い、あれこれと苦心の末、やっとのことで婚約にこぎつけました。いよいよ輿入となり、姫は大勢の家来につきそわれて石和に出発しました。
しかしそのことを知った大井氏は、隙を見て今井河原に軍勢を集めて明慶院を攻め立てました。明慶院一族は相手よりも軍勢が少なかったので、たちまち敗れ頼りにしていた武田の軍も間に合わず、哀れにも西野の小森の地で全滅してしまいました。
生き残った西野姫は尼となり西野北芝原のお経塚で、明慶院一族の冥福を祈ったといいます。
西野姫が亡くなった後に村人がこの地に集まって、十数基の供養塔をたて、西野姫の霊を慰めました。北芝原のお経塚はそれからのち開墾されて今は畑となっています。
因みに西野には「西野白桃」という甘味の強い、美しい形の桃が栽培されていますが、これは西野姫の美しい顔や肌にあやかってつけられたものともいわれています。
(白根町)
山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
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