物語
Old Tale
#0569
がんまくさん
ソース場所:北杜市小淵沢町3349 北野天神社大鳥居
●ソース元 :・ 山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
●画像撮影 : 2016年01月07日
●データ公開 : 2016年06月24日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他 : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。
[概 要] 昔、北杜市小淵沢町の北野天神社の神主に力持ちで知られた「がんまくさん」と呼ばれる人がいました。彼が力持ちになったのは、松木坂の摩利支天の石像が倒れているのをおこした事がきっかけと言われる。彼には、北野天神社大鳥居の笠石をたった一人で、しかも一晩で乗せたとか、色々な力持ち話が伝えられています。
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がんまくさん
昔、小淵沢村北野天神社の神主の家にとても力のある男がいて、村人は「がんまくさん」と呼んでいました。この男が力持ちになったにはわけがあります。ある日信濃(今の長野県)の国境にある松木坂を通りかかると、一体の石像が倒れていました。見ると摩利支天さんの石碑でした。男は「これはいけない。」 とひとりごとを言いながら起こして立ち去りました。
そして数日後ふたたびここを通りかかると若い女が赤ん坊を抱いて立っていました。男が近づくと「この児をしばらく抱いていてください。」 といって赤ん坊を男に渡すと姿を消してしまいました。男の抱いた赤ん坊は、はじめは軽かったのですが、ふしぎなことに次第に重くなり、男はとうとう耐えられずに草むらに降ろそうとしました。この時さっきの女が現れてお礼をいったあと「あなたに大力を授けよう。」 といって、また姿を消しました。ふしぎに思って赤ん坊を見ると何とそれは摩利支天の石像だったのです。 それ以来この男は大変な力持ちになりました。
ある日のこと、山道で追いはぎに会い、「金を出せ」といわれました。男は「待ってくれ、タバコを一服吸ってからな。」といってそばにあった大木を軽々しく曲げて腰をかけ、タバコを吸いだしました。追はぎも大木の片方に腰をおろしていましたが、男が急に立ち上ると大木がビーンとはね上がって追いはぎはそのいきおいで空高く舞いあがり、やがて谷底に落ちてしまいました。
その後村で神社の鳥居を建てることになりました。 村中の者が総がかりで二本の柱を建てましたが、日暮れになったので笠石はあした上げることにして帰りました。よく朝村人が社へ来てみると、笠石はいつの間にか上げられていて、鳥居は見事に仕上がっていました。がんまくさんが一人で一晩のうちに上げたもので、村人は驚き、その大力とやさしさに感謝したそうです。これが現在の北野天神社の大鳥居だといわれています。 (小渕沢町)
山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
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このお話で大活躍の「がんまくさん」の子孫の方が、今も北野天神社近くにお住まいだそうです。今に続くむかし話です。
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山梨各地に伝わる昔話や伝説、言い伝えを収録しています。昔話等の舞台となった地域や場所、物品が特定できたものは取材によって現在の状態を撮影し、その画像も紹介しています。