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「YAMANASHI DESIGN ARCHIVES」は、山梨県に伝わる過去の優れた物品の造形や模様、自然から得られる色彩、今に伝わる昔話・伝説を、産業上で使用することのできるデザインソースとしてデジタル化して配信する山梨県のプロジェクトです。

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The “YAMANASHI DESIGN ARCHIVE” is a project in Yamanashi prefecture that distributes the design sources of shapes and patterns of fine goods that have been passed down in Yamanashi prefecture since the past, colors from nature, old tales and legends that have been passed down to the present, and written material that has existed in the region since ancient times through a digital format for industrial use. Please make use of these sources for product development, education and research, service development, etc.

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物語

Old Tale

#1513

水乞鳥

ソース場所:甲府市


●ソース元 :・ 「全國昔話資料集成16 甲州昔話集」  土橋里木 編
       ・ 甲斐志料集成3(昭和7-10年)  甲斐志料刊行会 編
●画像撮影  : 201年月日
●データ公開 : 2018年06月21日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他   : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。

【概要】 昔、ある馬喰の妻の仕事は馬に飼葉をやったり、水をやったりする事だったが、彼女は前の川まで水汲みに行くのが大変なのが嫌で、いつも水をやったような顔をしてしらばっくれていた。彼女の家の馬たちはいつも喉が渇いて切ない思いをしていた。その罰で彼女は嘴から尻尾まで真っ赤な鳥に生まれ変わった。水を飲もうと川へ行けば、水面にまるで火のような自分の姿が映り、恐くて恐くて水が飲めない。水場が恐くて仕方ないから木の葉の露でやっとしのぐが、旱続きには、露も宿らず、早く雨をと空に向かって鳴くと云う。

水乞鳥
水乞鳥は昔は馬喰のおかた(妻)であった。馬喰の事だから厩には幾匹もの馬が飼ってあったが、朝晩その馬に飼葉をやったり、水をやったりするのがこの嬶ァの仕事であった。ところが嬶ァは、前の川まで水汲みイ行くのがごっちょう(苦労)だもんだから、いつもづくッ病んで(骨を惜しんで)、馬に水ッやったような顔をしては、本当はやらなんでいた。そして亭主に「馬に水ッくれたか」と聞かれると「ああ、くれたよ」と返事だけ良い返事をしていた。それで厩の馬どもは、みんな喉ン渇いて、水ゥ飲みたくて飲みたくて、始終切ない思いをしていた。
その罰で、この嬶ァは鳥に生まれ変わった。この鳥は、腰の辺りに少し藍色の羽根があるほかは、嘴から尻尾まで、胸も腹も背中もみんな赤い色をしている。それで、谷川へ行って水ゥ飲まず(飲もう)と思えば下の水に自分の身体が赤く映って、それがまるで火のように見エて、恐くて恐くて何としても水が飲めぬ。それからまた別の川や沢へ行って見ても、どこの水ン中にも火が燃えているように見えて、少しも水を飲むことができぬ。それでこの鳥は、喉が渇いて切なくてならぬが、山の木の葉に宿った露を吸って、やっと喉を湿すことができるだけである。
けれども、いく日も旱が続いて雨の降らぬ時には、木の葉の露も乾いてしまって露を吸うことさえできなくなる。するとこの鳥は水ゥ飲みたくて飲みたくて、早く雨を降らせてくれるようにと空を向いては法外(非常に)鳴く。それで誰いうともなくこの鳥のことを水乞鳥というようになった。
だからこの鳥が、
ヒョウロロー
ヒョウロロー
と言って頻りに鳴く声を聞くと、人たちは「これァ近いうちに雨ン降るらよオ。今日は水乞鳥ン法外鳴くで」などと言って話し合うのである。
(昭和七年八月十二日 橘田としじ伯母)

土橋里木(1975年)全國昔話資料集成16甲州昔話集 岩崎美術社
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アカショウビン
全長27cmほど。全体が赤褐色、腰に青色の羽を持つ。特にくちばしは鮮やかな赤色。
春から夏にかけて日本に渡来し、秋に日本を離れ越冬地に移動する渡り鳥。
主に日本より南方から渡来し、日本で繁殖(子育て)をする。北海道から沖縄までほぼ全国で繁殖するが、渡来数は少ない。
カワセミ科だが、カワセミとは違い水辺から離れた広葉樹林に生息し、良く響く声でさえずる。
繁殖期は梅雨時で雨が降りそうなときに鳴くので「水乞い鳥」「雨乞い鳥」などの別名で呼ばれる。

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水乞鳥
首尾赤くキレイな鳥である。雨水を飲み、雨が降りそうな時は仰ぎて雨を待つと云う。
調べてみると武江の田舎にもこの鳥が見られると云う。カラス程の大きさで、クチバシが長く、太く、朱色である。尾は短く、翡翠[カワセミ]の少し大きい感じ。一名 深山翡翠[ミヤマショウビン]ともいう。曇天の時は、人家近くまで来て鳴く。自分のクチバシが赤いのが水に映り、その水を飲むことができないという。  (「裏見寒話」 巻之三 より)

[裏見寒話とは、野田成方が甲府勤番士として在任していた享保九年~宝暦三年(1724-1753)までの30年間に見聞きしたり、調べた甲斐の国の地理、風俗、言い伝えなどをまとめたものです。只々聞いたものを記すだけでなく、良く考察されており、当時の様子や、一般の人達にとって常識だった歴史上の事柄を知ることが出来る。]

このデザインソースに関連する場所

甲府市古関町

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山梨各地に伝わる昔話や伝説、言い伝えを収録しています。昔話等の舞台となった地域や場所、物品が特定できたものは取材によって現在の状態を撮影し、その画像も紹介しています。