物語
Old Tale
#1549
しばり地蔵さん
ソース場所:常昌院 早川町京ヶ島711
●ソース元 :・ 「早川のいいつたえ」第三集 著者:三井啓心 出版社:㈱上田印刷
●画像撮影 : 年月日
●データ公開 : 2020年08月21日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他 : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。
【概要】 早川町京ヶ島の常昌院の「しばり地蔵さん」は、とーっても慈悲深いお地蔵さんで、縄でぐるぐる巻きにされるようなひどい目にあっても、人々が願い事をかなえたくて一生懸命ぐるぐる巻きにしていると知れば、願い事をかなえてあげようとしてくれる。もとはと言えば、庚申さんとの人違い、もとい、神違いで縛られてしまったようですが、今でも信心する人たちのため、町おこしにも一役買っているとか。ありがたいお地蔵さんです。
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京ヶ島のいいつたえ
『しばり地蔵さん』
しばるということは、動かないようにするとか、悪いことをした時と、相場はきまっています。
ところが、もったいなくも、京ヶ島の常昌院におまつりする御地蔵さんは、縄でぐるぐる巻きにされています。こんな罰当たりのことをして。とだいたいの人は思いますが、それにはわけがあります。
江戸時代に、庚申さま信仰がさかんになって、多くのお寺や、道端に、庚申像や、庚申塚が立てられました。中国の教え、道教からでたものだそうですが、えとの庚申にあたる日には、身をつつしむ。というところからきています。
御本体もまちまちで、青面金剛菩薩の御姿が一般的ですが、なかには、不動明王や、帝釈天もあり、「申[サル]」ということから、猿に似た像もあります。いずれも、現世御利益を謳い文句の信仰で、当時の時世にもあったのでしょう。
田舎では、この像に縄をかけて庚申さまを困らせ、願いがかなえば、縄を解くというやりかたが多かったようですが、このお寺には、そばに御地蔵さまがまつられていました。
この地方には、御影石のような硬い石は無く、像をつくるのには、播磨沢石という、細工しやすい、石を使いましたから、百年もたてば、風化してしまって、顔形など、じきに、わからなくなってしまいます。そんなことから、御地蔵さまも、庚申さまも、ずっと同じあつかいを受けてきました。
でも、そこは、大慈悲で、
衆生にやさしい御地蔵さま、同じようにしばられても、不平も言わず、いろいろな、願いをかなえてくれました。
過疎の村おこしに、一役かってもらおうと、村人の奉仕で、まつり直されたのは、昭和五十九年と新しいですが、なにしろ、ききめがあらたかだということで、年を追う毎におまいりが増え、このごろは、御地蔵さまも、願いが聞き切れないぐらいです。
「仏様に、縄をかけてお願いするくらい、真剣な人は、かなう率が高いさ」とは、住職のお言葉ですが、
「えらんとうも[あなたがたも]、ごむしん[おねがい]して みろやれ[ごらんよ]」
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