物語
Old Tale
#0394
清子のお神明さま
ソース場所:南巨摩郡身延町清子3801 神明神社
●ソース元 :・ 山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
●画像撮影 : 2015年10月20日
●データ公開 : 2016年06月24日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他 : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。
[概 要] 昔、清子のある老人が伊勢参りに行った。帰り道、足裏に違和感を覚え草鞋を脱ぐと小石が入っていた。小石を捨てて歩き出ししばらくするとまた草鞋に小石が。そんなことを何度も繰り返し老人はもしかするとこの小石には何かわけが有るのかもしれないと、捨てずに火打ち袋に入れ持ち帰ることにしました。老人は無事に清子に帰り着きましたが、石は不思議なことにだんだん大きくなっていました。「伊勢の神様が清子へ行ってみたくて、石に姿を変えやって来たのだろう」と社を建ててお祀りしました。それが清子にある神明神社だと云います。
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清子のお神明さま
清子という集落の矢口にある神明神社はむかしから地元の守り神として信仰されていました。祭神は天照大神といわれています。ここには、次のような伝説が残っています。
昔、この村に住むある物持ちの老人が、ながい間の念顕であった伊勢詣りを無事に済ませて帰りに向っていました。わらじ、脚絆と足捺えも厳重にすませてたくさんのみやげ物を背負って伊勢の宿屋を出発しました。辺りの景色を眺めながら足も軽く歩いているうちに、しばらくすると足の裏に何か入って、とても歩きにくくなったので、路端に腰をおろしてわらじを脱いで調べると、小石が入っていました。「何だ石の粒か。」 と捨てて、わらじを履きなおして出発しました。
天気はよし、旅は快適でしたが、どのくらい歩いたのか足の裏が気になってきました。もういちどわらじを脱いで調べてみると、また小石が入っていました。それを取り出してまた歩きつづけました。すると今度もまたわらじに小石が入って、そんなことを何度もくり返しました。そこで老人は小石を手の平にのせて、しばらく考えました。この小石には何かわけがあるに違いない・・・老人は、こんどは捨てるのをやめて火打ち袋に入れて持って帰ることにしました。
それからというものは、道中は無事に過ぎて、やっと郷里清子へ帰って来ました。
ところで火打袋に入れて持ち帰った小石は、ふしぎなことに、だんだん大きくなつていきました。老人はもちろん、この話を聞いた村人もたいへんおどろいて、その話はお寺のお坊さんにまで伝わりました。お坊さんは「まことにふしぎなことだ。これはたぶん、伊勢の神さまがこの清子へ来たくなって、この小石に姿を変えていたに違いない。さっそく祀るがよいだろう。」 と教えてくれました。
老人はじめ、村人たちは力を合わせてお堂を建て、大きくなった石を御神体として祀りました。それが今のお神明様だということです。御神体を入れてある箱の中には、そのことを記した書きものが今も入っているそうです。それには、寛永二年八月大吉辰と記されてもいると聞きます。 (身延町)
山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
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