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「YAMANASHI DESIGN ARCHIVES」は、山梨県に伝わる過去の優れた物品の造形や模様、自然から得られる色彩、今に伝わる昔話・伝説を、 産業上で使用することのできるデザインソースとしてデジタル化して配信する山梨県のプロジェクトです。

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#1147

お玉ヶ池

ソース場所:上野原市野田尻849 西光寺東門口「お玉ヶ井」跡  話中の[長峰の池]は中央道工事により消滅


●ソース元 :・ 土橋里木(昭和28年)「甲斐傳説集」山梨民俗の会        
       ・ 「まんが日本昔ばなし~データベース~」     http://nihon.syoukoukai.com/   
●画像撮影  : 201年月日
●データ公開 : 2016年11月18日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他   : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。

[概要] 山中で飲用に適した清水を常に供給してくれる湧水は命を繋ぐ大切な物だったのでしょう。大切でなおかつ畏れの対象として、龍神様など不思議なお話が伝わっています。

お玉ヶ池
 白山社の北麓、西光寺の東門口に深さ一丈余の池があり、これをお玉ヶ池と呼んだ。昔ゑびす屋の下女お玉なる者、毎朝未明にこの池へ来て、下半身を水に浸して主家へ帰った。主婦が叱るとお玉は主家を辞して、途中桶を地に伏せて立ち去ったが、そこから清水が湧出した。尚お玉は、大鶴村長峰の池の主で龍神だと伝えている。 (北都留郡誌)

土橋里木(昭和28年)「甲斐傳説集」山梨民俗の会・発行
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乙女湯
昔々、一人の美しい娘が峠道を歩いていた。この娘、もう何日もろくに食べておらず、まさに倒れようという時、一羽の水鳥が飛び立つのを見た。娘は水鳥に誘われるかのように池のほとりに降りて行った。そして澄んだ池の水を飲み、ようやく生気を取り戻す。ところがこの時、一匹の美しい蛇が、池の中からじっと娘の様子を見ていたのだ。娘は蛇の姿を見ると、恐ろしさのあまり、その場で気を失ってしまった。
しかしその時、折り良く薪拾いの爺さまが通りかかった。気を失った娘を見た爺さまは、娘を背負い自分の家に連れ帰ると、婆さまと二人で娘を介抱した。数日もすると、二人の介抱のおかげで、娘はすっかり元気を取り戻した。娘は乙女と名乗り、両親に先立たれ、遠い知人を訪ねて行く途中だったのだと言う。
娘は、恩返しのためにこの家にとどまり、機を織ったり爺さまと婆さまの世話をしたりと、二人によく尽くした。子供のない爺さまと婆さまは、働き者の乙女を気に入り、ゆくゆくは婿を取らせて家を継いでもらおうと考えた。
ところが、しばらくすると乙女は、夜中に布団から抜け出し外に出て行くようになる。乙女は毎晩家を抜け出し、決まって夜明け前に帰って来るのだった。そして日が経つにつれて、乙女は元気を失っていき、さらには妖気(ようき)まで漂わせるようになってしまった。
この様子を見た爺さまと婆さまは大層心配して、何とかして乙女の外出を止めさせようとした。そこで爺さまは、とうてい一晩では織れない程の糸を乙女に渡すと、これを朝までに織り上げるように頼んだ。爺さまと婆さまは、乙女が外出する暇を無くすしかないと考えたのだ。
夜になり二人が乙女の様子をそっと見ていると、なんとした事か、乙女は人間技とは思えぬ速さで糸を織り上げて行き、あれ程あった糸はあっという間に無くなってしまう。そして乙女は仕事を終えると、いつものように家を出て行く。爺さまがこっそり乙女の後をつけると、乙女は最初に倒れていた長峰の池(ながみねのいけ)のふちへと降りて行くではないか。
そして池からは、この池の主である大蛇が現れた。乙女は、長峰の池の主に魅入られており、夜毎この池に通っていたのだ。いたたまれなくなった爺さまは、逃げるようにして家に帰った。これに気づいた乙女は、爺さまを追いかけて家に戻ると、二人に別れを告げた。乙女はお世話になったお礼に、一生絶えない湧き水を残すと言うと、また長峰の池の主のもとに去って行った。
朝になると、家の裏の土手には、乙女が言ったとおり澄んだ湧き水が湧いていた。そして不思議なことに、この水に手をつけると、爺さまと婆さまのカサカサの手はすべすべになった。二人は、この水は病気にも効くのではないかと思い、この水を使って病気の人のために湯を沸かしてあげた。
後にこの湧き水は乙女湯と名づけられ、乙女がやって来た峠は、乙女峠と呼ばれるようになったそうな。

「まんが日本昔ばなし~データベース~」http://nihon.syoukoukai.com/

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話中の「長峰の池」は中央道工事により消滅。「お玉ヶ池」も今は水も涸れ「お玉ヶ井」の石碑が残るのみとなってしまっている。

このデザインソースに関連する場所

35.633728,139.060998

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