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「YAMANASHI DESIGN ARCHIVES」は、山梨県に伝わる過去の優れた物品の造形や模様、自然から得られる色彩、今に伝わる昔話・伝説を、産業上で使用することのできるデザインソースとしてデジタル化して配信する山梨県のプロジェクトです。

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The “YAMANASHI DESIGN ARCHIVE” is a project in Yamanashi prefecture that distributes the design sources of shapes and patterns of fine goods that have been passed down in Yamanashi prefecture since the past, colors from nature, old tales and legends that have been passed down to the present, and written material that has existed in the region since ancient times through a digital format for industrial use. Please make use of these sources for product development, education and research, service development, etc.

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#1278

望郷の鐘(上野原市大倉 要害山に伝わるお話)

ソース場所:上野原市大倉 要害山(35.645001,139.087495)


●ソース元 :・ 内藤恭義(平成3年)「郡内の民話」 なまよみ出版
●画像撮影  : 201年月日
●データ公開 : 2017年12月05日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他   : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。

[概要] 鐘が納められるところを自ら希望したと云うお話があります。お寺の鐘も、時の鐘も、鋳造職人らが、それぞれの土地での平安と遠くまで美しい音色が届くことを願い造った鐘は、納まるべき所を知っているのでしょう。もう決して戦争での兵器などにならないことを鐘たちは願っている事でしょう。

望郷の鐘

甲斐の武田と相模の北条が争った戦国の世、上野原町大鶴の要害山は、眺望がきくので狼煙台として使われた。
狼煙台では有事に備えて、常時番兵が見張りをしていた。見張り番は猿煙の通信を受けると直ちに次の狼煙台に向けて狼煙を送ったのち、村民やとりでのさむらいに防備、出動あるいは避難などを知らせるため、いちはやく山をかけおりて、大倉(上野原町)の小高い丘にある城山の鐘突堂の鐘を撞いて急を知らせた。
平時は、時の鐘として朝夕使われていた大倉の陣鐘は、ゴオーンという音色が遠くまで長く響いて、山々に吸い込まれるように消えていく、何ともいえぬ美しい音色であった。
上野原は甲相の接点にあり、鎌倉時代からしばしば戦の舞台となった。殊に戦国時代には北条、武田の攻防がはげしかった。亨禄三年甲州軍は郡内の小山田越中守信有を総大将として北条の侵攻に当ったが負け戦で、大倉の地も北条勢に攻め込まれ、陣鐘は戦利品として持ち去られてしまった。北条勢は「戦の最中、早鐘を撞かれて、しばしば行動をさまたげられたあの鐘だ」というので、意気揚々と持ち帰り、津久井の城で使うことにした。
ところが何度撞いても、聞こえる音は大倉で聞いた鐘音とは違うのである。余韻が次第に細くなって消えるはずなのに、ゴォオォオォーオンと大きくなったり小さくなったりしながら、急に消えるのである。とても悲しく、むせぶがごとくで、どうも「ゴォーンオークラオークラ」と聞こえてくるような気がするというので、鋳かえしてみたが、やはり悲しそうに「オークラオークラ」と泣くように聞こえる鐘の音色は、城兵を気味悪がらせ津久井の村民さえも心が暗くなる音色であった。
さだめし武田のお家安泰を願う高僧が、鐘を撞く毎に念仏をとなえ高僧の法力が込められているに違いない。このような鐘は兵の士気を失わせるし、たたりがあるかもしれぬと、城近くの功雲寺の池に沈めてしまった。

ことの次第は間もなく大倉に伝わった。平時は時の鐘として朝夕親しんだ大倉の人々は、鐘がすっかり大倉の土地になじんで、津久井へ行ったあとも大倉恋しと鐘音を発したという話にすっかり感動し、今となっては見ることもできぬ鐘に「望郷の鐘」と名を付け、聞こえるはずもない音色に耳を傾けた。

内藤恭義(平成3年)「郡内の民話」 なまよみ出版

このデザインソースに関連する場所

日本、〒409-0138 山梨県上野原市 要害山

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山梨各地に伝わる昔話や伝説、言い伝えを収録しています。昔話等の舞台となった地域や場所、物品が特定できたものは取材によって現在の状態を撮影し、その画像も紹介しています。