物語
Old Tale
#0550
和尚さんに化けたムジナ
ソース場所:大月市七保町葛野1695 福泉寺
●ソース元 :・ 山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
●画像撮影 : 2018年07月02日
●データ公開 : 2018年03月12日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他 : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。
[概要] 鎌倉 建長寺の三門(山門)は、江戸時代の安永4年(1775)に、第201世住職の万拙碩誼和尚の尽力で再建したものです。 建長寺周辺に住む狸たちは、尊敬する和尚さんが工事のためのお金を懸命に集める様子に心を動かされ、和尚さんに化けて各地へ托鉢に向かい、集めたお金などを山門前にどっさり置いて、和尚さんに喜ばれたという話があります。 狸たちは関東一円を托鉢してまわったようで、各地に狸僧の話が残ります。この工事は大掛かりで、沢山のお金がかかったようで、県内の隅々まで托鉢僧が来たのでしょう。このアーカイブの中でも、No.393「建長寺の狸僧」、No.1215「むじなになった坊さん」、No.1229「建長寺のむじな僧」、No.1230「建長寺の狸僧」など沢山のお話が伝わっています。
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和尚さんに化けたムジナ
大月市七保町葛野の福泉寺は、鎌倉にある建長寺の子寺で、昔からとても栄えてました。ある日のことです。一ばんえらい和尚さんが福泉寺にきて、それは、それは、ありがたいお話をしてくれるという知らせが村名主のところにありました。
そこで名主は村中の人たちを集めて、和尚さんはお話の終ったあとわたしの家に泊まることになっているが、和尚さんは犬が大きらいだそうだから、村中の犬を一晩だけつないでおくように、それから、そそうのないようにして、ごちそうをたくさん用意しておくことを村人に申しつけました。
二、三日して、和尚さんは村へやってきて、ありがたいお話をすませると、お駕籠で名主の家につきました。そして、名主にいうことには「部屋は暗くてよい。もてなしなどしなくてよいから、わたしの居る部屋に絶対入ってはなるぬ。また食事がすんだらお風呂に入るが、そのときもけっしてのぞかぬように」と固く言いつけて人払いをさせました。
やがて、食事やお風呂をすませた和尚さんは部屋にもどりましたが、えらい和尚さんにはとても見えないほど食事やお風呂の入りかたがらんぽうだつたと、いうことでした。
ともかくこうして和尚さんは、手厚いもてなしを受けながら、村から村をまわった末、鎌倉にかえることになったのですが、ある山道にさしかかったところで、突然大きな犬が和尚さんのお駕篭におそいかかりました。和尚さんは大声をあげて助けを求めましたが、とうとう犬に噛み殺されてしまいました。大あわてをしたお伴の人たちがみると、大きな白い毛のムジナがそこに死んでいたそうです。
みんながえらいとあがめていた和尚さんは実はムジナが化けていたのでした。
山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
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当の建長寺では、建長寺の山門の再建(江戸時代)のため、長年建長寺に住み着いた狸がお金を集めて廻ったが、籠で移動中、犬に噛み殺された。という「狸の三門」という話がある。
「建長寺の狸和尚」は、建長寺のある神奈川県をはじめ、東京、長野、静岡、山梨などで主に語られています。当アーカイブ上でも何話か収録しているので読み比べてみてください。
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山梨各地に伝わる昔話や伝説、言い伝えを収録しています。昔話等の舞台となった地域や場所、物品が特定できたものは取材によって現在の状態を撮影し、その画像も紹介しています。