物語
Old Tale
#0548
うなぎを食べないという話
ソース場所:北杜市武川町山高 幸燈宮
●ソース元 :・ 山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
●画像撮影 : 201年月日
●データ公開 : 2016年06月24日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他 : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。
【概要】 鰻料理は世界に誇る日本の食で、「あれこれ我慢してでも鰻のかば焼きは食べたい」、「〇〇のうな重を食べるのが楽しみ」など、「もし鰻を食べられない世界になったらどうしよう、不安すぎる」と老若男女問わず大人気の食ですが、北杜市武川町山高の幸燈宮では、神様を助けた神魚として食べないと決めている氏子さん達がいると言います。
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うなぎを食べないという話 北杜市武川町山高の氏神様は、ある時、隣国との戦に出陣しました。氏神様はある沼辺で敵の大将と組討ちになり、なかなか勝負がつかない中、二人とも沼の中に落ちてしまいました。泥に足を取られ、思うように動けずもう助からないと思ったその時、体を泥の中から押し上げてくれる力があり、見事、氏神様は敵に勝利しました。この、沼の中で救ってくれたのがこの沼に住む大ウナギでした。氏神様を救ってくれたのがウナギだと知った氏子たちは、鰻を御神魚とし、食べたりせず大切にしたそうです。1000年以上前から、今でもうなぎを食べない氏子たちも大勢いるそうです。
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うなぎを食べないという話
武川村山高の氏神様にまつわる、千年以上も前からの古いお話です。この氏神様には、三人の神様が祀られていて、その中の一人に稚日霊女尊(わかひるめのみこと)と呼ばれる女の神様がいました。
たいそう強く、勇ましく、戦いの上手な軍(いくさ)の神様でした。ある時隣の国との戦いがあって、尊は大勢の家来とともに、馬に乗って出陣しました。そしてある沼辺で敵の大将と組討ちになりました。どちらも強くてなかなか勝負がつきません。そのうちとうとう二人とも、馬から沼の中へ落ちてしまいました。
沼は泥が深くて、もがけばもがくほど、体はずるずると、沼の中へのめりこんでいきました。 もう助からないと思っていた尊はその時、泥の中からぐんぐんと押し上げる力を感じました。そのうち尊の体は次第に水の上に浮き上がってきて、戦いよい形になりました。一方敵の大将は、そのままなおも泥の中にのめりこんでいき、とうとう尊は敵の大将を倒すことができました。
このあぶないところを助けてくれたのは沼に住む一匹の大きな鰻だったのです。
この話はたちまち村人の間に伝わり、それからというものは人々は ”鰻は御神魚だ、うなぎを食うと神の罰があたって、目がつぶれるぞ” といって誰一人として、うなぎを食べる人がいなくなりました。そして捕えた鰻はみんな氏神様の前の池に放して大切に扱い、また拝殿には、千匹の鰻を画いてある大きな絵馬を納めました。そして九月九日に年々行われる氏神様のお祭りには、庭にかがり火を焚いて、丑の刻(午前二時)になると、神様にお供えするご馳走の中に必ず、どじょう汁を供えるようになったのです。
どじょうは、うなぎの大好物だからです。鰻を神様のようにおまつりして、感謝する村人たちのあたたかい心は、長い間伝わりました。 (武川村)
山梨県連合婦人会 編集・発行(平成元年)「ふるさとやまなしの民話」
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