1252│水の神の文使(忍野村に伝わる話)

Top > Old Tale > 1252│水の神の文使(忍野村に伝わる話)

ソース場所:忍野村に伝わる話

●ソース元 :・ 土橋里木(1975年)全國昔話資料集成16甲州昔話集 岩崎美術社
●画像撮影  : 201年月日
●データ公開 : 2017年10月27日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他   : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。

 

[概要]

水の神の文使
一人の旅人が橋のたもとを通りかかると、川の中から誰か呼ぶ声がする。はてなと思って立ちどまっていると、下の淵からきれいな娘が一人出て来て、「次の橋へ行けば、私の妹がいるから、この手紙を渡してくだせエ」と言いながら一通の手紙をさし出した。
旅人は別に怪しみもせずにその手紙を頼まれて、道を歩いて行くと、何となく淋しくてならぬ。しばらく行くと一人の坊さんに行き逢った。「どうもお前は顔色がよくないが、何か不思議のことはないか」坊さんは旅人の顔をじっと眺めて尋ねた。旅人が、川の中から出て来た娘に手紙を頼まれた話をすると、「どれ、その手紙を見せろ」と言う。旅人が懐から手紙を出して見せると、坊さんはすぐにそれを開いて見た。すると中には「この男をとって食え」と書いてある。「こりゃアとんでもないこんだ。今すでにお前の命はないところだった。よしよし、おれが中身を書き換えてやる」坊さんはそう言いながら、すぐに紙と矢立を取り出して、手紙の中身を「この男に金をたくさんくれろ」と書き換えてやった。
旅人がその手紙を持って次の橋へ行くと、そこには、きれいな若い娘が出て待っていた。「先の橋から、この手紙を頼まれて来たよ」旅人が手紙を渡すと、その娘はすぐにそれを開いて見て、ちょっと変な顔をしたが、「ちょっと待ってくだせエ」と言いながら、橋の下の淵へはいり、淵の中の竜宮から、小判小粒の金をたくさん持って来てくれた。旅人はそのおかげで大した長者になったそうだ。
(南都留郡忍野村 大森かめ様〔七十九歳])

土橋里木(1975年)全國昔話資料集成16甲州昔話集 岩崎美術社

このデザインソースに関連する場所


忍野村
ページトップ