


物語
Old Tale
#1251
水の神の文使(市川三郷町)
ソース場所:西八代郡市川三郷町上野
●ソース元 :・ 土橋里木(1975年)全國昔話資料集成16甲州昔話集 岩崎美術社
●画像撮影 : 201年月日
●データ公開 : 2017年10月27日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他 : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。
[概要] 県内のあちこちに伝わるお話です。深い淵や橋のたもとで頼まれ事をすると、、、。 気の良い人が岩桶淵の観音さんへお参りに行くと、一人の老人が来て「私の娘が上曽根の向こうのけさん淵に居るから、手紙を持って行ったもらいたい」と云う。断ることも出来ずに預かってきたが、途中、何とも寂しい不安な気分になり、その手紙を見てみると「この男を取って喰え」と書いてあった。びっくりして中身を書き換え、けさん淵に来て美しい娘に手紙を渡すと、娘は手紙を読み少し変な顔をしたが、淵の中から小判やら甲州金など沢山持ってきて男に渡した。 男は「この男に沢山お金を渡せ」と書き換えて、それを元手にお金持ちになったと云う。 水辺には時々水の神様が現れて、おっかない頼みごとをしてくるが、知恵を働かせたら、とんでもない幸運を手に入れられるかも、、、。
水の神の文使
昔、鶯宿村に屏大尽というお大尽があった。この屏大尽の先祖がイヲオケ(岩桶)のお観音へお参りに行った。するとイヲオケの淵から一人の爺様が出て来て、「お前に用がある」と言った。「何どオ」と言うと「外じゃアないが、俺ン娘が、上曽根の向こうのけさん淵にいるから、この書面を持ってって渡いてもらいたい。淵の傍へ行って、おけさおけさと呼ぱァれば娘ン出て来るから、ぜひ頼む」と言って爺様は一通の書面を渡した。屏大尽の先祖は断わることもできなんで、書面を預かって来るには来たが、途中で何となく淋しくなったから、その書面を拡げて見ると、「この男を取って喰エ」と書いてある。驚いて中味を書き換えて、「この男に銭をたくさんくれろ」と書き直した。そのうちにけさん淵へ着いて、おけさおけさと呼ばァると、淵の中から美え娘が一人出て
来た。「イヲオケからこの書面を頼まれて来とオ」と言って書面を娘に渡すと、娘は見ている前ですぐ封を切った。それを読んで娘は変な顔をしたが、「ちょっくら待してくりょオ」と言って淵の中へはいった。屏大尽の先祖は、どうなることかと思って怖かなくていると、娘はまた出て来て、小判と甲金(甲州金〉をウンと持って来た。「書面にあるとおり、お前にこれをやる」と言うから、その金をヂンキチ(藤蔓で作った袋)へ入れ、急いで逃げて帰った。屏大尽はそれが元で、大金持になったのだということである。
(昭和十四年一月二十九日 河野市松氏〔五十七歳])
岩桶 ・・・・ 市川三郷町上野を流れる芦川の下流に、岩で囲まれた岩桶と言う深い淵がある。その淵にまつわる伝説である。
土橋里木(1975年)全國昔話資料集成16甲州昔話集 岩崎美術社
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