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「YAMANASHI DESIGN ARCHIVES」は、山梨県に伝わる過去の優れた物品の造形や模様、自然から得られる色彩、今に伝わる昔話・伝説を、 産業上で使用することのできるデザインソースとしてデジタル化して配信する山梨県のプロジェクトです。

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#1518

清春小学校の話

ソース場所:北杜市長坂町中丸2072 清春白樺美術館


●ソース元 :・ 長坂町教育委員会(平成12年)「長坂のむかし話」 長坂町役場
●画像撮影  : 201年月日
●データ公開 : 2018年06月26日
●提供データ : テキストデータ、JPEG
●データ利用 : なし
●その他   : デザインソースの利用に際しては許諾が必要になります。

[概要]

清春小学校の話     (中丸)

春、清春芸術村はソメイヨシノの桜の花で美しく埋まり、毎年大勢の花見客で賑わいます。清春芸術村の建つ場所には、かつて清春小学校がありました。大正15年4月から昭和50年3月までの50年間清春地区の児童生徒はここで学ぴました。枝を張ったたくさんの桜の木々に囲まれて、眼の前に見る甲斐駒ヶ岳の雄姿に勇気をふるい立たせて、大勢の清春地区の子どもたちがここから巣立っていきました。

校庭の桜 
清春芸術村の場所に校舎が建てられたのは大正14年でした。翌年4月、開校を記念して村人たちは校庭の周囲に親指ほどのソメイヨシノの苗木をうえました。
ところが5月の晩霜のために伸びはじめた若芽が枯れてしまいました。村人たちは苗木の先端を切り取って新芽の成長を待ちました。
「いろいろ手当てをしたもんだが、その時の霜のお陰で幹が適当に枝分かれして木の格好がよくなったじゃんかい。霜の功名ちゅうもんじゃんけ」と、時の校長の故堀内一氏は根元から見事に枝分かれした桜から当時を回顧したということです。
桜の実の熟すころ、子どもたちは校庭に低く垂れた枝をターザンのように伝わって木に登り、黒く熟した実をあさりました。子どもたちのあまりの腕白にたまりかねた学校は、「桜の木に登らない」という校則をたびたび出しました。
昭和41年、このソメイヨシノの群落は県の天然記念物に指定されました。開花時の華やかさの陰には、テングス病の枝の切除ゃ、剪定作業などに心を配って来た清春小学校PTA、村の人たちの地道な努力がありました。

青い目の人形 
開校間もない昭和2年5月、清春小学校に珍しいお客さんが訪れました。アメリカの子どもたちからの親善大使として、はるばる太平洋を渡って日本にやってきた「青い目の人形」のうちの一体です。
山梨県庁に届けられた110体の人形たちは、甲府市内の幼稚園と小学校の全校に配られ、残りのお人形さんは県下の小学校にお嫁入りすることになりました。どの人形もアメリカの子どもたちからの優しい便りの入った封筒と旅行免許状を肩からつるし、胸のあたりでしっかり抱いていました。赤い帽子をかぶったもの、赤いマントを着たもの、顔に網をかけたものもあれば、靴をリボンで結んだものもある。いずれもアメリカの子どもたちの心のこもったものでした。その中の一体が清春小学校にやってきたのです。
清春小学校では、5月14日に平井茂信校長はじめ全校児童200人で、盛大な歓迎式を行ないました。
冬着まで持ってのお輿入れ、寝かせば目をつむり起こせば青い目をパッチリ開く、それはかわいいお人形さんでした。子どもたちは大喜び、村の人もわざわざ見に来て一緒に喜こびました。それ以来、清春小学校ではこのお人形さんを主賓にして、3月3日のひな祭りに学芸会をするようになりました。
それから何年かたって、太平洋戦争がはじまると、この人形たちのほとんどは敵国の人形だからと、つぎつぎに焼かれ捨てられる運命となりました。しかし、学校関係者のひそかな努力で受難の時代を生き抜いた人形もありました。
清春小学校の子どもたちの心に生き続けるお人形さんは「親善大使」の役目を立派に果たして、昭和50年長坂小学校との統合を機にその生涯をこの清春の地で終えたということです。        (小林均)

長坂町教育委員会(平成12年)「長坂のむかし話」 長坂町役場

このデザインソースに関連する場所

北杜市長坂町中丸2072 清春白樺美術館

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